“スタッフが続く医院”と“すぐ辞める医院”のたった一つの差

歯科医院経営ブログ

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皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。

これまで全国さまざまな歯科医院に関わる中で、多くの院長先生方から「採用がうまくいかない」「人が育たない」「人がすぐ辞めてしまう」というご相談を受けてきました。
ここ数年、歯科業界の人材市場は大きく変化しており、求人難はすでに“当たり前”の状態となっています。

「スタッフを採るために条件をどんどん上げざるを得ない…」
「求人票を出しても全然応募が来ない…」
「やっと採用しても数ヶ月で辞めてしまう…」

このような悩みは、どの地域でも規模を問わず共通しています。

しかし、こうした状況に直面したときに、ただ「待遇を良くしよう」「給与をもっと上げよう」と条件面だけをテコ入れしてしまうと、かえって医院全体のバランスが崩れ、経営に悪影響を及ぼすことがあります。

だからこそ、今必要なのは「本質的なマネジメント力」の見直しです。

条件の“吊り上げ合戦”に参加してはいけない理由

最近の求人市場を見ていると、歯科衛生士や歯科助手、受付スタッフなどの求人において「月給30万円以上保証」「週休3日」「17時退社可能」など、他院よりも目を引く条件を提示する医院が増えています。もちろん、好条件を出すことで一時的な応募は増えるかもしれません。しかし、問題はその先にあります。

「条件で来た人は、条件で去っていく」
これが現場でよく起こっている現実です。

たとえば、医院が一生懸命教育し、ようやく即戦力になってくれたスタッフがいたとしても、近隣の医院がさらに条件の良い求人を出したら、そちらに流れてしまうかもしれません。これは、採用を「条件合戦」にしてしまった結果です。

採用は「入り口」ではありますが、あくまで“関係性のスタート地点”。
本当に大事なのは、「どうやって長く一緒に働いてもらうか」「どうやって成長してもらうか」です。だからこそ、条件に依存せず、“選ばれる医院”になるための体制づくり、すなわちマネジメントが重要なのです。

「環境整備」が採用と定着の最大のカギ

採用に困っている医院の多くに共通しているのが、スタッフにとって働きやすい環境が整っていないという点です。逆に、条件が特別高くなくても応募が絶えない医院は、院内の雰囲気や人間関係、キャリア支援体制がしっかり整っています。

たとえば、以下のような環境は整っていますか?

  • 新人スタッフへの丁寧な教育マニュアル
  • 先輩によるマンツーマン指導やフィードバック制度
  • 定期的な1on1ミーティングや面談体制
  • 成長を実感できる評価制度
  • 院長がスタッフに日々感謝を伝えている文化

こうした要素が積み重なることで、スタッフは「この医院でなら長く働きたい」と感じるようになります。給与や休日の条件ももちろん大切ですが、それ以上に人間関係と自己成長の土壌が、採用や定着を左右するのです。

「スキルより人柄」採用が生む医院の安定性

よく「スキルがある人を採りたい」「即戦力を求めている」とおっしゃる院長先生も多いですが、私は常にこうお伝えしています。

「技術は教えられますが、人柄は教えられません。」

たとえば、こんな方が面接に来たとします。

  • 経験年数は少ないが、患者さんに対してとても丁寧で誠実な対応ができる
  • 常に周囲に感謝の言葉を伝える習慣がある
  • わからないことを素直に聞ける姿勢がある

このような人材は、育てるのに多少時間はかかっても、チームにとって確実にプラスになります。

反対に、技術や経験が豊富でも、態度が高圧的だったり、他人の話を聞かない人は、たった一人でも医院全体の空気を壊してしまいます。

採用の際に「この人と一緒に働きたいか?」という感覚を大切にしてください。
医院にとって“合う人”かどうかを見極める力が、院長に求められる重要な資質の一つです。

評価制度は“未来志向”のマネジメントツール

スタッフのやる気が続かない、指示待ちばかりになる、育成がうまくいかない…そんな悩みを抱える医院では、評価制度が導入されていない、または形骸化していることが多くあります。

評価制度とは、単なる「給料を決めるためのもの」ではありません。

  • 成長の道筋を見える化するもの
  • 努力をきちんと承認・報酬につなげるもの
  • スタッフの自信や自己肯定感を育てるもの

という“未来志向”のツールです。

例えば、「〇〇ができるようになったら評価アップ」「□□の項目で高評価を得られたら表彰」など、具体的な基準が明示されていれば、スタッフ自身も自ら目標を持ち、日々の業務に前向きに取り組めるようになります。

さらに、評価制度はスタッフ間の不公平感をなくし、院内の透明性と信頼関係を高めることにもつながります。

結局、マネジメントとは“人を幸せにする技術”である

私はこれまで数百の歯科医院と関わってきましたが、強い医院、伸びる医院には共通して「人への関心」があります。

スタッフの人生を預かる。
その責任を持つ覚悟が、院長にあるかどうか。

その覚悟がある医院は、自然とスタッフも患者さんも安心して関わることができ、結果として医院経営もうまくいきます。

マネジメントとは、言い換えれば「人を幸せにする技術」です。

人が幸せを感じる職場、成長できる職場を作ることができれば、給与や待遇を上回る“魅力”を持った医院になります。そんな医院こそが、これからの時代に選ばれる医院です。

採用難の時代にこそ、マネジメントで勝負を

これからますます歯科業界は人材確保が難しくなっていきます。
しかし、希望はあります。条件ではなく、“環境”と“文化”を整えることで、求職者は必ず皆さんの医院に惹かれます。

  • 条件の吊り上げ合戦に参加しない勇気
  • 働きやすい環境と成長できる仕組みづくり
  • 人柄重視の採用
  • 明確で納得感のある評価制度の導入

これらを一つひとつ丁寧に整えていけば、強い組織ができあがり、採用も育成も、すべてが好循環していきます。

どんな時代でも「人」がすべての中心にあります。
だからこそ、歯科医院経営において、マネジメントの力をもう一度見直してみませんか?

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これからも、一緒に良い医院づくりを目指してまいりましょう!

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