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皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。
歯科衛生士の採用がうまくいかない、採用できても長く続かない。このご相談を、毎月のように院長先生から受けています。そのなかで最近増えてきたのが、適性検査を導入したほうがいいのか、という質問です。
結論から申し上げます。歯科衛生士の採用に適性検査は有効です。ただし、どの検査でもいいわけではありませんし、使い方を間違えると、かえって採用を難しくします。
この記事では、公的なデータで歯科衛生士採用の現在地を確認したうえで、適性検査で何が分かって何が分からないのか、どう選び、どう使えばいいのかを整理します。読み終えたときに、自院で導入すべきかどうかの判断ができる状態を目指します。
1. 数字で見る、歯科衛生士採用の現在地
まず、感覚ではなく数字で状況を確認します。
新卒の求人倍率は23.1倍
全国歯科衛生士教育協議会の調査によると、2025年度の歯科衛生士(新卒)の求人倍率は23.1倍でした。求人人数152,550人に対して、新卒就職者数は6,616人です(出典:全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」/クオキャリアpocketによる集計 https://www.webqua.jp/pocket/career/13751/ )。
新卒1人に対して23件の医院が手を挙げている計算です。求人票を出して待っていれば応募が来る、という時代ではありません。
就業者数は増えているのに、現場は足りない
一方で、就業歯科衛生士の数そのものは減っていません。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、2024年末時点の就業歯科衛生士は149,579人で、10年前より約33,000人増えています(出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/index.html )。
人数は増えているのに現場が足りないと感じるのは、歯科医院の数に対して分散していること、そして非常勤が多いこと、さらに一つの医院に定着し続ける人が少ないことが理由です。
8割が転職を経験している
日本歯科衛生士会が2024年秋に実施した第10回勤務実態調査(回答者5,385人)では、転職経験がある人は80.8%にのぼりました(出典:公益社団法人日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」令和7年3月 https://www.jdha.or.jp/pdf/aboutdh/r7-dh_hokoku.pdf )。
採用市場に出てくる歯科衛生士の多くは、他院を経験している方だということです。裏を返せば、自院で採用した方も、条件が合わなければ次に移る可能性が高い。採用と定着は、切り離して考えられません。
2. 転職理由の3人に1人が、院長との人間関係
同じ調査で、転職理由(複数回答)の上位はこうなっています。
- 出産・育児:33.8%
- 経営者との人間関係:33.2%
- 結婚:32.4%
- 給与・待遇:32.3%
出産・育児や結婚はライフイベントであり、医院側でコントロールしにくい理由です。しかし2位の経営者との人間関係は、採用の段階から手を打てる理由です。
さらに、現在働いていない歯科衛生士の退職理由でも、経営者との人間関係が20.5%で上位に入っています。自分の健康21.6%、家庭の事情21.1%とほぼ並ぶ水準です。
ここで注意していただきたいのは、これは院長先生の人柄が悪いという話ではないということです。私は多くの医院を訪問していますが、人間関係で辞められている医院の院長先生ほど、真面目で、スタッフのことを考えている方が多い。問題は人柄ではなく、噛み合わせです。丁寧に段取りを説明したい院長と、まず動きながら覚えたい歯科衛生士。この組み合わせは、どちらも悪くないのに、日々小さなストレスが溜まります。
つまり、良い人を採るのではなく、自院と噛み合う人を採る。これが定着率を上げる一番の近道です。そして、噛み合うかどうかを面接だけで判断するのは、かなり難しい。ここに適性検査を使う理由があります。

3. 適性検査とは何か。能力検査と性格検査の違い
適性検査は、応募者に質問へ回答してもらい、その傾向を数値化して人物像を客観的に把握するための検査です。大きく2種類に分かれます。
能力検査は、計算力や言語力、論理的な思考力を測るものです。一般企業の新卒採用でよく使われます。
性格検査は、価値観や行動の傾向、ストレスがかかったときの反応などを測るものです。
歯科医院の採用で重要なのは、圧倒的に後者です。歯科衛生士の技術は入職後に伸ばせますが、価値観の違いは簡単には埋まりません。少人数のチームが一日中同じ空間で働く歯科医院では、その差が毎日効いてきます。
4. 適性検査で分かること、分からないこと
導入前に、期待値をそろえておくことが大切です。
分かること
- 院長やチーフとの相性、噛み合いやすさ
- ストレスがかかったときにどう反応する傾向があるか
- 患者さんや同僚への関わり方のタイプ
- 指導するときに、どういう言い方なら届きやすいか
- 早期離職につながりやすい傾向があるかどうか
分からないこと
- スケーリングやSRPの技術レベル
- 実際の患者対応の丁寧さ
- 資格や経験年数の裏付け
技術は実技チェックや職務経歴で、相性は適性検査で。役割を分けて使うのが正しい使い方です。適性検査は面接の代わりではなく、面接の精度を上げる道具だとお考えください。
5. 一般的な適性検査が、歯科医院で機能しにくい理由
適性検査そのものは何十種類もあります。ただ、一般企業向けの検査をそのまま歯科医院に持ち込むと、次の3つでつまずきます。
1つ目は、比較する基準が自院ではないこと。 多くの検査は、全国平均や一般的なビジネスパーソンの分布と比較します。ところが歯科医院に必要なのは、平均と比べてどうかではなく、この医院に合うかどうかです。院長のタイプも、チーフのタイプも、医院によってまったく違います。
2つ目は、結果が読み解けないこと。 数十項目のスコアやグラフが並んだレポートを渡されても、忙しい院長先生が診療の合間に読み解くのは現実的ではありません。導入したが正直よく分からない、というご相談を本当に多く受けます。
3つ目は、費用と手間が合わないこと。 1人あたり数万円かかる検査を、パート応募も含めて全員に実施するのは難しい。結果として、使わなくなります。
適性検査を選ぶときは、この3点をクリアできるかどうかを見てください。
6. 歯科医院向け適性検査の選び方チェックリスト
実際に検討されるときは、次の7項目で比較すると判断しやすくなります。
1. 自院のスタッフと比較して、相性を判定できるか
2. 結果が、専門知識なしで読める形になっているか
3. 面接で何を聞けばいいかまで示してくれるか
4. 入職後の育成や関わり方にも使えるか
5. スマートフォンで受検でき、応募者の負担が小さいか
6. 結果が出るまでの時間が短いか(面接当日に使えるか)
7. 1人あたりの費用が、応募者全員に実施できる水準か
とくに1番と3番が重要です。相性を判定できない検査は、良い人か悪い人かという評価にしかならず、自院に合うかどうかの判断には使えません。
7. 導入するときの流れと、面接への組み込み方
適性検査は、面接フローのどこに置くかで効果が変わります。おすすめは、書類選考を通過した段階で受検してもらい、面接の前に結果を見る形です。
1. 求人応募が入る
2. 書類選考を通過した方に、検査のURLを送る
3. 応募者はスマートフォンから受検する
4. 面接前に結果を確認し、確認すべき点を洗い出す
5. 面接で、その点を深掘りして質問する
6. 実技や見学の様子と合わせて、最終判断する
7. 採用後、教育担当の決定と関わり方の参考にする
先に結果を見ておくと、面接の質問が具体的になります。たとえば、自分の考えを溜め込みやすい傾向が出た方には、困ったときに誰にどう相談したか、過去の経験を聞く。この一問があるだけで、面接の精度は変わります。
なお、自院の傾向と比べて相性を出すタイプの検査では、最初に既存スタッフにも受検してもらう必要があります。手間に感じるかもしれませんが、これは同時に、今のチームの傾向を可視化する機会にもなります。

8. やってはいけない、3つの使い方
検査結果だけで合否を決めること。 適性検査は判断材料の一つです。数値が良くても現場で伸びない方もいますし、少し外れていても、教育担当との組み合わせ次第で伸びる方もいます。
良い人・悪い人という見方をすること。 検査が示すのは優劣ではなく傾向です。自院と合うかどうかで読んでください。ある医院で合わなかったタイプが、別の医院では中心メンバーになる。これは実際によくあります。
応募者に目的を説明しないこと。 何のための検査か分からないまま受けさせられると、応募者は不信感を持ちます。入職後に働きやすくするために実施していると、必ず一言添えてください。辞退の防止にもつながります。
9. 費用の考え方
適性検査の費用は、1人あたり数千円から数万円まで幅があります。判断のときは、検査の金額単体ではなく、採用が1回失敗したときの損失と比べてください。
求人広告費、面接にかけた時間、入職後の教育に費やした院長とチーフの時間、そして辞めた後の穴埋め。数か月で辞められた場合、これらがすべて失われます。金額に換算するまでもなく、現場の消耗が一番大きい。
数千円の検査で、その確率を下げられるのであれば、投資対効果は十分に合うというのが私の考えです。
10. 歯科医院に特化した適性検査という選択肢
私たち歯科医院地域一番実践会では、歯科医院専用の適性検査として、地域一番スタッフ適性検査FIRSTを開発しました。
- 応募者と自院との相性を判定します(全国平均との比較ではありません)
- 受検はスマートフォンから約10分、結果は数分で確認できます
- 結果はAIが解釈し、面接で深掘りすべき質問と、入職後の接し方まで示します
- 歯科衛生士だけでなく、歯科助手・受付・歯科医師にも使えます
- 費用は1検査3,000円(税抜)です
詳しい内容と申し込みは、こちらのページにまとめています。
まとめ
- 歯科衛生士の新卒求人倍率は23.1倍。募集して待つだけでは採用できない
- 転職理由の33.2%が経営者との人間関係。相性が定着を左右している
- 適性検査で分かるのは相性と関わり方の傾向。技術は分からない
- 選ぶときは、自院との相性を判定できるか、結果が読める形かを見る
- 検査結果だけで合否を決めない。面接の精度を上げる道具として使う
採用は、良い人を探す活動ではなく、自院と噛み合う人を見つける活動です。そこに手間をかけた医院から、スタッフが辞めなくなっていきます。
採用と定着のことで、うまくいっていないことはありませんか
求人を出しても応募が来ない、採用してもすぐ辞めてしまう、教育担当がいつも疲弊している。こうした状態は、求人票の書き方や面接のやり方だけでなく、医院の仕組み全体が関係していることがほとんどです。
歯科医院地域一番実践会では、初回無料の経営相談を承っています。オンライン(Zoom等)または横浜本社で、1回1〜2時間。これまで866医院の支援実績をもとに、貴院の状況をお聞きしたうえで、次の一手を一緒に整理します。
現状をお聞きするだけでも、何から手をつけるべきかがはっきりします。まずはお気軽にご相談ください。
出典一覧
- 全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」(クオキャリアpocket集計)
数字で見る!歯科衛生士の超解体新書|クオキャリアpocket【歯科衛生士の就職・転職情報サイト】この記事では、歯科衛生士という職業についてさまざまなデータをピックアップ! 歯科衛生士を目指している方は、将来や働いている自分を具体的にイメージしてみてくださいね。 *こちらは、2025年6月発行「予防の歯医者さん202 … Continu... - 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況を紹介します - 公益社団法人日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」令和7年3月
https://www.jdha.or.jp/pdf/aboutdh/r7-dh_hokoku.pdf











