歯科医院の自費診療の価格弾力性に関して

歯科医院経営ブログ

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1. はじめに

こんにちは!経営戦略研究所のコンサルタントの渡邊です。
最近では、日本の物価高とそれに伴う賃金上昇の必要性が声高に叫ばれています。これは多くの業界で共通の課題となっていますが、歯科医院も例外ではありません。しかし、歯科医院の診療は人の技術によって成り立つため、人の力に頼る部分が大きいという特性を持っています。このような中で、スタッフの賃金を上げつつ、持続可能な経営を維持するためにはどのような観点が必要なのかという点に関して私の考えをまとめてみたいと思います。

2. 歯科医院を取り巻く現状

歯科医院において、物価高や賃金上昇の圧力は大きなテーマとなってきております。特に、スタッフの賃金を上げることは、治療の質を維持し優秀な人材を確保するために必要不可欠です。しかし、歯科医院は上述の通り人でないと対応が出来ない部分が大きいため、受け入れられる患者数には限界があり、他の業界と比べて効率化が難しい現状があります。このため、賃金をあげていくための原資となる収益を増やすためには、診療の単価を上げることが一つの解決策となります。

3. 賃上げと経営のバランス

そう考えますと、特に自費診療の比率を高め、自費診療の価格を適切に設定することが重要です。しかし、歯科医院の自費診療は価格弾力性が高く、値上げによって自費診療を選ばれる患者様が減ってしまうというリスクがあると考えています。そのため本来であれば、たくさんの時間と労力とお金をかけて習得された先生の治療技術は、たとえ他の医院では提供出来ないような治療技術であっても、その価格は他の医院さんの水準と同程度に設定せざるを得ないという状況が多いのではないかと思います。

4. 自費診療の価格弾力性とその影響

価格弾力性とは、価格の変動が需要量にどの程度影響を与えるかを示す指標ですが、歯科医院の自費診療においては価格設定は非常に重要な要素であり、価格弾力性は高いと思います。つまり、患者様が自費診療を自分にとって必要と確信が持てない場合には、価格の上昇が自費診療の減少につながってしまうということです。

具体的には価格が上昇すると、患者様は他の歯科医院や他の治療法を選択する可能性が出てきます。
しかし、価格が低すぎると収益が確保できず、結果として賃上げなどの対策が取りづらくなってしまいます。
適切な価格設定を行うことで、患者数を維持しつつ収益を確保することが必要になってまいります。

5. 自費診療の重要性を伝える方法

そこで大切な観点としましては、自費診療の重要性を患者に伝えるための情報提供です。患者様が自費診療の価値を理解出来る環境や関係性を整えていくことで自費診療の必要性を感じてくださる可能性が高まります。

情報提供の方法としては下記のような方法がございます。
・HPやSNSを活用して、自費診療のメリットや治療過程を詳細に説明する。
・患者様向けの治療説明のパンフレットやリーフレットを作成し配布する
・定期的なイベントや相談会を開催し、直接患者様とコミュニケーションを図る。

6. 患者への価値提供と競合との差別化

また、院長先生の自費診療がどれだけ価値があるかを伝えるためには、競合との差別化の観点が重要です。特に歯科医院の良い治療に関しては患者様は実感しづらい特徴がございます。

そのため先生やスタッフの皆さんの専門性や経験、最新の技術や設備の導入をしていることなどをしっかりと伝えていくことがポイントです。

差別化のための方法としては下記のような方法がございます。
・最新の治療技術や設備をHPやGoogleビジネスプロフィールにアップしていく
・カウンセリングなどで院長先生やスタッフの皆さんの専門性を伝える
・Googleの口コミや院内での患者様の感想文などを活用する

7. 価格設定と患者数の関係

実際に価格をどのように設定するかという点は非常に重要なポイントです。高すぎる価格設定は患者様の離脱を招く一方、低すぎる価格設定は医院の収益を圧迫します。このため、適切な価格設定が求められます。競合他院の価格帯を把握するとともに、医院の強みを考慮して価格を設定することが重要です。

適切な価格設定のためのポイント
・競合医院の価格調査と比較分析を行う。
・強みや独自の技術を踏まえた価格設定を行う。
・患者様の自費に対するイメージや相場観を踏まえて設定する。

8. まとめ

歯科医院が良い治療を行いながら持続可能な経営を維持するためには、スタッフの賃金を上げることがますます求められる可能性がございます。しかし、そのためには診療の単価を上げる必要があり、自費診療の比率を高めることが求められます。そのためには自費診療の価格弾力性を考慮し、適切な価格設定を行うことが重要です。そして患者様に自費診療の価値を理解してもらうための情報提供と、競合との差別化を図ることがより必要になってきております。今一度取り組みをご確認くださいませ。

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