このブログは約 12 分で読めます
皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。
面接で何を聞けばいいのか分からない。
院長先生から、よくいただくご相談です。履歴書を見ながら、志望動機を聞いて、前職の話を聞いて、質問はありますかで終わる。気がつけば30分。そして採用してから「こんなはずでは」となる。
この記事では、歯科医院の面接でそのまま使える質問と、45分の進め方をまとめます。あわせて、法律上聞いてはいけない質問も整理します。ここは知らずに聞いてしまうと、医院の信用に関わります。
この記事でわかること
- 面接の前に準備しておくこと
- 45分の面接の進め方(時間配分つき)
- そのまま使える質問30(場面別)
- 答えを深掘りする「事実→行動→結果→学び」の型
- 聞いてはいけない質問(厚生労働省の基準)
- 面接だけでは分からないことと、その埋め方
1. 面接の前に、これだけは準備する
面接がうまくいかない医院の多くは、その場で質問を考えています。履歴書をその場で開き、目についたところを聞く。これでは面接官によって聞くことがばらつき、応募者を比べられません。
準備することは3つです。
- 全員に同じことを聞く「共通質問」を決める。比べられるようにするためです
- その人だけに聞く「個別質問」を3つ決める。履歴書や事前情報から、確かめたい点を拾います
- 評価する観点を決める。「印象が良い」ではなく、何を見て判断するかを先に決めます
これを前日に10分やるだけで、面接の質が変わります。
2. 45分の面接の進め方
| 時間 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 導入・医院の説明 | 緊張をほぐす。素の反応を引き出す準備 |
| 5〜15分 | 経歴の確認 | 職歴と、辞めた理由を事実で確認する |
| 15〜30分 | 深掘り(個別質問+共通質問) | 行動の質を見る。ここが面接の本体 |
| 30〜38分 | 逆質問 | 何を大事にしている人かが出る |
| 38〜45分 | 条件の確認・案内 | 勤務条件、入職可能時期、合否連絡の時期 |
いちばん時間を使うのは深掘りです。志望動機を長く聞いても、準備されてきた答えが返ってくるだけで、判断材料にはなりません。
3. そのまま使える質問30
共通で聞く質問(全員に同じものを)
- これまでの仕事で、いちばん力を入れて取り組んだことは何ですか
- 直近の職場で、あなたはどんな役割でしたか。周りからどう頼られていましたか
- 急に予定が変わったとき、どう対応しましたか
- 指示が曖昧だと感じたとき、どうやって仕事を進めますか
- ご自身のミスに気づいたとき、どのように対応しましたか
- 3年後、どんな働き方をしていたいですか
仕事の進め方を見る質問
- 複数の作業が重なったとき、何から手をつけますか
- 手順が決まっていない仕事を任されたら、どう進めますか
- 自分なりに工夫して効率を上げた経験はありますか
- 締め切りに間に合いそうにないと分かったとき、どうしますか
- 前の職場で、やり方を変えたほうがいいと思ったことはありますか。そのとき何をしましたか
人との関わり方を見る質問
- 苦手だなと感じる人と、どう付き合ってきましたか
- チームで意見が割れたとき、あなたはどう動きますか
- 後輩に教える場面で、意識していることはありますか
- 注意を受けたとき、どう受け止めるほうですか
- 職場で相談したいことがあるとき、誰に、どのタイミングで話しますか
ストレスへの向き合い方を見る質問
- これまででいちばん大変だった時期は、どんな状況でしたか。どう乗り越えましたか
- 忙しさが続くと、ご自身にはどんな変化が出ますか
- 気持ちを切り替えるために、やっていることはありますか
- 患者さんから強い言葉を受けたとき、どう対応しますか
歯科医院ならではの質問
- 患者さんに説明するとき、気をつけていることは何ですか
- 自費の提案について、どんな考えを持っていますか
- 予防やメインテナンスで、大事だと思うことは何ですか
- 器具の準備や片づけで、こだわっていることはありますか
- 院内の清潔管理で、前の職場でやっていたことを教えてください
- 受付と診療室の連携で、困ったことはありますか
入職後のイメージを見る質問
- どんな先輩のもとだと働きやすいですか
- 当院で、まず何から覚えたいですか
- 将来やってみたい役割はありますか(新人教育、カウンセリング、在庫管理など)
- 当院について、聞いておきたいことはありますか
全部聞く必要はありません。共通の6問に、個別の3〜4問を足す。これで十分です。
4. 答えを深掘りする「事実→行動→結果→学び」
質問そのものより大事なのが、答えの掘り方です。型はひとつでいいです。
- 事実 それはいつ、どんな場面でしたか
- 行動 そのとき、あなたは何をしましたか
- 結果 結果どうなりましたか
- 学び 同じ場面がまた来たら、どうしますか
見るのは2つです。主語が「私」で語られるか。そして失敗も隠さず話せるか。
「チームで頑張りました」「みんなで協力して」ばかりで自分の行動が出てこない方は、実際には動いていない可能性があります。逆に、失敗を具体的に話せる方は、振り返る力があります。
5. 聞いてはいけない質問
ここは必ず押さえてください。厚生労働省は、就職差別につながるおそれのある事項を、採用選考で把握してはならないとしています。
本人に責任のない事項
- 本籍・出生地(「戸籍謄本」や本籍が記載された住民票の提出を求めることも含みます)
- 家族の職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産
- 住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
- 生活環境・家庭環境
本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)
- 宗教
- 支持政党
- 人生観、生活信条
- 尊敬する人物
- 思想
- 労働組合・学生運動などの社会運動
- 購読新聞・雑誌・愛読書
(出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm )
悪気なく聞いてしまいがちなのが、「ご実家はどちらですか」「ご主人のお仕事は」「お子さんの予定は」です。雑談のつもりでも、これらは避けてください。
勤務の可否を確かめたいときは、家庭の事情を聞くのではなく、条件そのものを聞きます。「土曜も月◯回お願いすることがありますが、可能ですか」「急な欠員のとき、代わりに出ていただくことはできますか」。これなら問題ありません。
6. 面接だけでは分からないこと
ここまで質問を並べてきましたが、正直に申し上げると、面接には限界があります。
理由は3つです。
- 応募者は準備してきます。見えるのは、準備された30分の姿です
- 第一印象を引きずります。感じが良いと、それを裏づける情報ばかり拾ってしまいます
- 自院との相性は、本人も自覚していません。だから質問しても出てきません
とくに3つ目が厄介です。能力が高くても、医院の風土や一緒に働く先輩と合わなければ、力を発揮できないまま辞めてしまいます。本人にとっても不幸な結果です。
これを埋めるには、面接の前に別の物差しを1つ持っておくことです。
7. 質問を「その人専用」にする方法
私たち歯科医院地域一番実践会では、歯科医院のために作った適性検査「FIRST(ファースト)」をご用意しています。
応募者にスマートフォンで約10分受けてもらうと、数分で結果が出ます。分かるのは、個人の特性に加えて今いるスタッフとの相性、そして離職や苦情などのリスク傾向です。
さらに、AIが結果を読み取って、その方専用の面接質問を出します。質問だけでなく「この質問で何を見極めるか」までセットで出るので、印刷して面接に持ち込めます。
1名から・1検査3,000円(税抜)、初期費用や月額固定費はありません。
面接での使い方をまとめた資料も、無料でお渡ししています。
8. よくあるご質問
Q. 面接は何回やるべきですか?
2回をおすすめします。1回目で人柄と経歴、2回目で現場を見てもらいながらスタッフにも会ってもらう。2回目があると、応募者側の「思っていたのと違う」が減り、入職後の離職が減ります。
Q. 院長ひとりで面接してよいですか?
1回目は院長先生おひとりでも構いませんが、2回目にはチーフなど一緒に働く人を同席させてください。院長先生とは合っても、現場と合わないことがあります。
Q. 見学だけの応募にはどう対応しますか?
歓迎してください。見学で「ここで働きたい」と思ってもらえれば、応募につながります。見学の際も、案内役を誰にするかは意識して選んでください。最初に接した人の印象が、そのまま医院の印象になります。
Q. 条件の話は、いつ切り出すべきですか?
最後の5〜7分で、必ず面接の場で伝えてください。給与、勤務時間、休日、試用期間、通勤手当。あとから「聞いていない」となるのが、早期離職のいちばんよくある原因です。
Q. 不採用の連絡はどうすればよいですか?
面接で伝えた期限までに、必ず連絡してください。地域は狭いです。連絡をしない医院という評判は、確実に次の採用に響きます。
まとめ
- 面接は準備が9割。共通質問・個別質問・評価の観点を前日に決める
- 45分の配分を決める。いちばん時間を使うのは深掘り
- 深掘りの型は「事実→行動→結果→学び」。主語が「私」かを見る
- 本籍・家族・住宅・思想信条は聞いてはいけない。勤務の可否は条件そのもので聞く
- 面接で見えないのは「自院との相性」。ここは別の物差しで埋める
面接の設計から、ご一緒します
「うちの医院は、どんな人が合うのか」「この応募者をどう見ればいいか」。こうしたご相談を、歯科医院の採用を専門に見てきたコンサルタントが無料でお受けしています。
ほかの医院の事例は歯科医院経営の相談事例集に、院長先生向けの講座はセミナー一覧にまとめています。
出典一覧
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」令和7年10月24日公表 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html









