【新型コロナウイルス感染症 】歯科医院の経営者としての対応

スタッフ教育

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こんにちは。
歯科医院地域一番実践会の山ノ内です。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の感染が日本国内でも急速に広がり、影響の出ていない歯科医院はないと言ってもいいのではないでしょうか。

既に、色んな対策を講じられていると思いますが、情報発信や経営者としての対応に関して少しまとめましたので紹介します。
※ 内容は4月14日時点の作成となります。

新型コロナウイルス対策の情報発信

ホームページやSNS等で新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の対策等を発信

今後多くのメディアで歯科医院の通院に関して記事にされることでしょう。既に厚労省、ヤフー、読売新聞オンラインは歯科医院に通院することの危険性に関して情報発信をしています。今後テレビの番組の内容でもますます取り上げられることが考えられます。

その中で医院の診療体制に関する情報発信が重要になってきます。

具体的には…
・スタッフの体調管理(日々検温)
・随時手洗いの徹底
・ユニットの清掃状況
アルコール・次亜塩素酸ナトリウム溶液の活用
・オートクレーブによる滅菌処理
・グローブの交換
・ディスポーザブル器具の使用
・口腔外バキューム
など

スタッフは毎日検温はしてもらい、37.5度以上の場合はお休みとするなど一定のルールを決めたほうがよいでしょう。

患者様もどのような設備が整っていて、各機器が何に対して効果を把握しているのかは把握していません。だからこそ歯科医院にとっては実施していて当たり前のことを患者様に明確に伝えるのです。

「当院はしっかり感染対策行っているから大丈夫!」
と思っていても患者様には何も伝わっていません。

まずは新型コロナウィルス対策のページを作成して、ホームページのトップにリンクを張り出せるとよいです。

新型コロナウイルス対策

来院する患者様の気持ちは今後より不安になっていくことでしょう。
医院としてどんな対策をしているかを明確に発信することで患者様も安心して来院して頂けます。

患者様に聞かれる前に事前にホームページに掲載しておくことが重要になります。

院内での情報発信

歯科医院が実践していることを来院患者様に伝える

院内の情報発信はさらに強めておいた方が良いです。
ご来院いただく患者様の中にはホームページを見て来てない人もいるので、再度、院内で掲示する必要はあると思います。

ホームページに掲載されている同様の内容でいいので院内に来た方も再度情報が確認できるように情報発信をしていきましょう。

情報発信の仕方としては下記の3つです。

ポスター
パンフレット
モニタースライド

になります。

ポスターは遠くから見ても取り組みが行っていることがわかるようなイメージポスターがよいです。
ポスターの周りに人が集まることはないので小さい文字で記載をしたとしてもとても見えるようなものではありません。
また、実際に私達のクライアントで院内にポスターを張り出しましたが、ポスターみたさに動く人はほとんどいませんでした。ただし、何を書いているかを気にしている患者様はとても多かったです。

今回の新型コロナウィルスの発生から人々が触るものや動く距離は制限をしています。
パッと見てわかるようなものがよいです。

コロナ対策ポスター

パンフレットは歯科医院地域一番実践経営塾でも話をしている初診パンフレットの内容を一部改訂をして、コロナ対策を行っている歯科医院として訴求するとよいでしょう。

モニタースライドの関してもHPで掲載している内容をわかりやすく写真を多く活用しながら作成できると良いです。

スライドイメージ

患者様が院内にいる中で多くの情報を発信することで安心して診療を受けられることができます。

患者様の検温および問診

受付付近に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のリスクがある人への注意を張り出し、可能であれば、検温をする

また出来る限りは非接触体温計で体温を測れるとよいでしょう。

事前にアポイント受付時に37.5度以上の方は診療できないことを伝えておき、体温が基準を超えてしまった場合には診療を進めない方がよいと思います。

ただ、患者様からするとせっかく来たのにという風に思われてしまいますので、事前に通達をしておくことが重要です。
通達に関してはLINE・SMS(メール)・SNS(フェイスブック・ツイッター)などで告知をしておいてください。

患者様の検温は感染拡大を防ぐための対策ではありますが、医院で働くスタッフにも安心感を与えます。ただ、万が一、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の可能性がある症状の患者さんが来院しても、通常は熱が高いだけで拒むことは厳しいです。

そこで事前に医院の診療ルールを明記しておき、事前に患者様に伝えておきます。

先日の厚生労働省の通知でもありましたが「応招義務について 患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者 の診療を拒否することは、応招義務を定めた医師法(昭和 23 年法律第 201 号) 第 19 条第1項及び歯科医師法(昭和 23 年法律第 202 号)第 19 条第1項における診療を拒否する「正当な事由」に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診 療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること。」と書かれています。患者さんに状況を確認し、必要あれば保健所に相談し、対応することをおすすめします。
(参考:日本歯科医師会HP 新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について https://www.jda.or.jp/dentist/coronavirus/

またコロナ専用の問診票を作成して、事前に答えていただくようにするとよいでしょう。
その際にペンの使い回しもありますので、患者様が使用する間際で拭く、もしくは滅菌ペンと使用済みのペンを分けて置いておくなど患者様が目で見てすぐわかる滅菌対策をしておきましょう。

 

院内教育

院内ではどのように感染対策をしていくのかをミーティングにて行った方がよいです。
人によって滅菌対策基準が異なっています。
スタッフ同士お昼を食べる時の並び方や患者様への説明の仕方など医院全体で揃えておくことが非常に重要になってきます。

話しあう内容としては下記の項目です。

・滅菌手順
・滅菌の薬液や診療道具(グローブ・マスク)の在庫管理
・ソーシャルディスタンスのとり方
・コロナウィルスに万が一かかってしまった場合の対応
・診療数の減少に伴うシフト調整の必要性
・今後の経営方針

コロナウィルスに関しては現在治療薬がないため、新薬開発がされたとしても治験や一般公開まで少なくとも半年以上はかかるでしょう。
つまり、短期的に対応をするのではなく経営のキャッシュフローや人材維持を含めて考える必要があるのです。その経営方針をいきなり来週から勤務はなくしますと言っても、スタッフとしては不安になります。
もちろん直接会うということではなく、zoomなどのオンライン会議ツールを活用しても良いのでトップが必ず全員の話を聞きながら、今後の経営方針を定めていくとよいです。

万が一の時

休業を想定

「自分やスタッフが感染してしまった」「治療に必要な物資が足らない」「商業施設に入っているが、商業施設が休業する(行政の指示がない)」そんな理由で医院を休業せざるえない場合は、雇用調整助成金を検討してみてください。休業手当の一部を助成金で当てることが可能です。また、場合によっては、運転資金を確保するために融資の検討が必要な医院さんもいらっしゃるかもしれません。最悪の事態を想定した対策が経営者として必要になってくると思います。
※ ただし、緊急事態宣言が出された場合は休業に対する考え方も変わりますので、行政の動向に注視が必要です。

(厚生労働省HP:雇用調整助成金に関して)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

雇用調整助成金ガイドブック
https://bit.ly/3ecxdnm

資金融資を検討する

休診にした場合、または診療を縮小せざるを得ない場合には資金融資を検討した方がよいです。
とりあえず5月6日までは診療を控えると考えている経営者の方から多くご相談をいただきますが、大切なのはその後のキャッシュの流れを把握しているかどうかです。
医業収入における保険診療分は2ヶ月遅れて入金されます。今の段階では困らないとは思いますが、6月、7月以降のキャッシュフローは健全ですか?

その点を税理士さんと細かくすり合わせた方が良いです。
また融資を検討しているのであれば下記のような融資の申請を行ってみてください。
キャッシュに関しては少なくとも運営費で3ヶ月分程度を保有しておくとよいです。

資金融資をしている場所は下記のとおりです。

日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/

新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用するには、コロナが流行してからの医業収入が5%以上下がっていることが条件となります。
ただし、3,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して別途決定される実施機関から利子補給され、当初3年間が実質無利子となる予定)、4年目以降は基準利率となります。

(令和2年4月1日現在、年利%)

基準
利率
特別
利率A
特別
利率B
特別
利率C
特別
利率D
特別
利率E
特別
利率J
特別
利率P
特別
利率Q
1.36

1.65
0.96

1.25
0.71

1.00
0.46

0.75
0.71

1.00
0.10

0.25
0.31

0.60
1.16

1.35
0.96

1.25

 

こんな時にしか出来ないことを実践する

セミナー関係が軒並み中止なり、休日の外出も出来ない、時間を持て余す院長も少なくないはず。こんなときだからこそ出来ることもあります。ホームページ用のコンテンツやブログを作成してみたり、「人事評価制度」を考えてみたり、第二領域に着手しても良いのではないでしょうか。プラスに転換して実践できれば価値を生む時間になります。

また院外に対する動画によるセルフケアの方法を動画でお伝えするのも有効です。
家から出られない今だからこそ、セルフケアできるように患者様の意識を向上していきましょう。

患者様により良い情報を伝えることが今できることです。
【できないこと】よりも【できること】に注力して進めていきましょう。

フロスの動画

弊社コンサルタントによる無料相談もオンラインで実施しています。
https://www.consuldent.jp/soudan.html

これからまだまだ厳しい状況が続くかもしれません。しっかりとした準備・対策を行い、この窮地を乗り切っていきましょう。

投稿者プロフィール

山ノ内 友哉
山ノ内 友哉
管理栄養士過程の大学を卒業。男性では少ない管理栄養士の資格を取得し、栄養学と関連の深い大手食品会社系列の製薬品会社に営業職として入社する。
前職の在籍期間は約8年間、700床以上の基幹病院にて医師・コメディカルを巻き込んだ 疾患教室の立ち上げ支援で医療従事者間の信頼関係構築の基礎を習得。その後、東京都内の私立大学病院を担当。そこで、自社製品の「現状」と「あるべき姿」を明確化し、そのギャップを埋める活動を週間単位で落とし、新製品で約95%のシェアを確立する。課題解決の原則を実践し、自らに落とし込む。その評価を受け、最も影響力のある東京大学医学部附属病院を担当。
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