優秀なスタッフから辞めていく歯科医院は「休み方」でなんとなくわかる

労務・人事評価・採用

このブログは約 20 分で読めます

実践会ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
歯科医院地域一番実践会の染谷です。

今日の内容、結構当てはまる!という院長先生も結構いると思います。
いや、ほとんどかもしれません。
だからこそ、めちゃくちゃ長いですが、最後の取り組みはぜひ参考にしてみて下さい。
院内でミーティングの時間を取っているのであれば、ぜひやってみて下さい!

 

あ、あとめっちゃ長いですが、この数年思っていることをぶつけた文章なのでぜひご一読下さい。

 

経営相談やコンサルティング先で院長先生からこのようなご相談をいただくことがあります。

「最近、スタッフがなかなか定着しないんです」
「せっかく育った衛生士が辞めてしまいました」
「受付の中心メンバーが退職して、現場が一気に回らなくなりました」
「なぜか優秀な人から辞めていくんです」

これは本当に多いです。

もちろん、退職理由は一つではありません。
結婚、出産、引っ越し、家庭の事情、キャリアチェンジ、体調面など、医院側ではどうにもできない理由もあります。

ただ、歯科医院の現場を見ていると、優秀なスタッフが辞めていく医院には、かなり共通点があります。

それは、給与が低いことだけではありません。
人間関係が悪いことだけでもありません。
休みが少ないことだけでもありません。

実は、優秀なスタッフが辞めていく医院は、
「休日の過ごさせ方」
「休ませ方」
「頑張っている人への仕事の寄せ方」
に問題が出ていることが多いです。

優秀な人ほど、静かに限界を迎えている

歯科医院では、どうしても仕事ができる人に仕事が集まりがちです。

説明が上手い衛生士。
患者さん対応が丁寧な受付。
新人教育ができるチーフ。
ドクターとの連携が早いアシスタント。
院長の意図を汲み取って動ける幹部スタッフ。

こういう人は、本当に医院にとって大切な存在です。

ただ、医院側がその大切さをわかっているようで、実はわかっていないことがあります。

たとえば、

・難しい患者さん対応はいつも同じスタッフに任せる
・新人教育も、クレーム対応も、急な欠勤対応もエースに寄せる
・休みの日でもLINEや電話で確認する
・有給を取っていても「ちょっとだけ」と連絡する
・忙しい日の残業は当たり前になっている
・成果を出しても評価や待遇が大きく変わらない
・年功序列や在籍年数で評価が決まっている
・辞めると言われてから慌てて引き止める

これを続けていると、優秀な人から順番に疲弊していきます。

なぜなら、優秀な人ほど責任感があるからです。
「自分がやらないと医院が困る」
「患者さんに迷惑をかけたくない」
「新人が不安にならないようにしないと」
「院長が困っているから助けないと」

そう思って、ギリギリまで頑張ってしまいます。
これを読んでいるコンサルタントのみんなもおそらく面談でどれだけ上記の言葉を優秀なスタッフから聞いてきたことか…と思ってもらえると思います。

そして限界が来たときには、もう退職の意思が固まっています。

院長先生からすると、そこで初めて
「え、そんなに悩んでいたの?」
「もっと早く言ってくれればよかったのに」
「何か不満があるなら相談してほしかった」
となります。

でも、本人はとっくに相談していたのです。

表情で。
返事のトーンで。
有給の取り方で。
朝の雰囲気で。
面談中の沈黙で。
仕事を抱え込む姿で。

ただ、医院側がそれに気づけなかっただけです。

すぐ辞める医院、よくある医院、エースが残る医院

少し極端に整理すると、スタッフ定着に課題がある医院は次のように分かれます。

すぐ辞める医院

・休みの日でも電話やLINEが鳴る
・難しい患者さん対応がいつも同じ人に集中する
・新人教育を現場任せにしている
・頑張る人ほど仕事が増える
・評価は年功序列、または院長の感覚で決まる
・辞めると聞いてから慌てる
・退職理由を「最近の若い子は…」で片付ける

この状態の医院では、真面目なスタッフほど苦しくなります。

頑張れば頑張るほど仕事が増える。
できるようになればなるほど責任が増える。
でも待遇も、休み方も、評価もあまり変わらない。

これでは、優秀な人にとっては
「この医院で頑張り続ける理由」
がなくなってしまいます。

よくある医院

・形だけ有給は取らせている
・残業を頑張りと評価してしまう
・忙しい人に「いつもありがとう」と言うが仕組みは変えない
・面談はしているが、本音までは聞けていない
・退職希望者を引き止めるが、待遇や役割は変えない
・チーフや幹部に任せすぎている
・スタッフの負担を「本人の能力」でカバーさせている

このタイプの医院は、悪い医院ではありません。
むしろ、院長先生もスタッフ想いであることが多いです。

ただ、問題は
「感謝はしているけれど、仕組みは変わっていない」
という点です。

「いつも助かっているよ」
「本当に頼りにしているよ」
「あなたがいてくれてよかった」

もちろん、こうした言葉は大事です。

しかし、言葉だけではスタッフは守れません。

休みの日に本当に休めるのか。
責任が増えた分、評価が返ってくるのか。
一人に負担が集中しない仕組みがあるのか。
困ったときに相談できる相手がいるのか。

ここが整っていないと、感謝されているスタッフほど、ある日静かに辞めていきます。

エースが残る医院

・成果に見合った評価が返ってくる
・休みの日は本当に休める仕組みがある
・特定の人に仕事が集中しないようにしている
・チーフや幹部の負担を院長が把握している
・辞めそうな兆候に早く気づける
・「代わりはいくらでもいる」と思っていない
・面談で本音を言いやすい空気がある
・患者さんのため、医院のため、スタッフのためのバランスを考えている

エースが残る医院は、スタッフに甘い医院ではありません。

むしろ、仕事に対する基準は高いです。
患者さんへの対応、医療人としての姿勢、院内ルール、時間管理、報連相、チームワーク。
求めるものはきちんと求めます。

ただし、頑張る人を使い潰しません。

ここが大きな違いです。

優秀なスタッフが辞める理由は、最後の一言ではない

退職面談でスタッフが言う理由は、たいてい最後の一言です。

「家庭の事情で」
「少し休みたくて」
「別の分野に挑戦したくて」
「通勤が大変で」
「体力的に厳しくて」

もちろん、それも本当だと思います。

ただ、その背景には小さな積み重ねがあります。

・有給の日に医院から何度も連絡が来た
・急な欠勤対応がいつも自分に回ってきた
・患者さんからのクレーム対応を一人で抱えた
・新人指導を任されたのに、指導時間は確保されなかった
・成果を出しても給与も役職も変わらなかった
・院長に相談したら「みんな大変だから」と言われた
・退職を伝えたら「一時的な気の迷い」と扱われた

こうした一つ一つは、小さなことに見えるかもしれません。

でも、本人の中では積み重なっています。

歯周病と同じです。
ある日突然、骨がなくなるわけではありません。
小さな炎症が続き、少しずつ支えが失われ、気づいたときにはグラグラになっている。

スタッフの退職も同じです。

ある日突然辞めるのではありません。
辞める前から、心の中では何度もサインが出ています。

問題は「人」ではなく「穴を埋めようとする文化」

優秀なスタッフが辞める医院に共通しているのは、
「人を見ているようで、実は穴を見ている」
ということです。

退職者が出ると、すぐに求人を出す。
シフトが足りないから補充する。
受付が回らないから誰かを入れる。
衛生士枠が空いたから採用する。
チーフが辞めたから次のチーフを探す。

もちろん採用は必要です。
歯科医院経営において、人材採用は最重要テーマの一つです。

しかし、求人を出し続ける前に考えなければいけないことがあります。

それは、
「今いる人が辞めない理由を作れているか」
です。

穴を埋めるだけでは、同じことが繰り返されます。

採用して、教えて、慣れてきた頃に辞める。
また採用して、また教えて、また辞める。
そのたびに院長も幹部も疲弊し、現場も不安定になります。

だからこそ、定着する医院は
「採用」より前に「今いる人を守る仕組み」
を作っています。

その一つが「ワークコンディション共有メモ」

ここで一つ提案したいのが、
「ワークコンディション共有メモ」
です。

元の言葉で言えば「地雷の把握」に近いのかな?と思います。

ただ、歯科医院内で「地雷」という言葉をそのまま使うと、少しネガティブに聞こえすぎるかもしれません。

そこで、医院内では次のような名前が良いと思います。

・ワークコンディション共有メモ
・安心して働くための取扱説明書
・チームコンディションメモ
・働き方の注意ポイント共有シート
・スタッフサポートメモ

私の院内でのミーティングではワークコンディション共有メモっていうのでやっています。

なので個人的には、歯科医院では
「ワークコンディション共有メモ」
が一番使いやすいと思います。

これは、スタッフのわがままリストではありません。
苦手なことを免除するためのメモでもありません。
患者さん対応から逃げるためのものでもありません。

目的は、
「スタッフが長く安定して働き、患者さんに良い医療を提供し続けるために、自分が崩れやすいポイントを把握すること」
です。

つまり、医院のためでもあり、患者さんのためでもあり、本人のためでもあります。

自分の反応ポイントを知ることは、逃げではない

仕事で疲れる人は、仕事量だけで疲れているわけではありません。

院長の一言。
先輩の言い方。
患者さんからの強い言葉。
アポイントの急な変更。
診療が押している空気。
受付でのクレーム。
新人指導の負担。
LINEや電話の返信。
誰かの不機嫌。
曖昧な指示。
断りづらい頼まれごと。

こうした小さな刺激に、毎日少しずつ削られています。

そして真面目なスタッフほど、こう考えます。

「自分のメンタルが弱いのかな」
「気にしすぎなのかな」
「社会人なんだから耐えないと」
「医療人なんだから我慢しないと」
「患者さんのためだから仕方ない」

もちろん、医療現場で働く以上、一定の責任感や忍耐力は必要です。
患者さんのため、医院のために踏ん張る場面もあります。

ただし、何でも我慢すればいいわけではありません。

メンタルが弱いから消耗するのではなく、
自分が何に反応しやすいかを知らないまま働いているから消耗するのです。

ワークコンディション共有メモに書くこと

では、実際に何を書けばよいのでしょうか。

たとえば、次のような項目です。

1.自分が焦りやすい場面

・診療が押しているとき
・急に予定が変わったとき
・患者さんに強く言われたとき
・院長から短い言葉で指示されたとき
・同時に複数のことを頼まれたとき
・新人に何度も同じことを聞かれたとき

これを把握しておくだけで、自分を責めすぎなくなります。

「自分はダメだ」ではなく、
「私は急な変更に弱いんだ」
と認識できます。

特に、院長は押すと焦ります。
焦るとイライラします。
でも、そのイライラの原因やどういう状況でイライラするかを事前に共有できたら?
みんながその状況を回避するように動いてくれたら?
院長のイライラから当たり散らかすのがなくなると退職も減るのでは?

2.自分が傷つきやすい言葉や態度

・雑に扱われたと感じる言い方
・努力を軽く見られる言葉
・みんなの前で注意されること
・理由を説明されずに否定されること
・不機嫌そうな態度を向けられること

ここも重要です。

同じ注意でも、受け止め方は人によって違います。
みんなの前で指摘されても平気な人もいれば、深く傷つく人もいます。

だからといって、注意しないという話ではありません。

注意の仕方を工夫する。
個別に伝える。
理由を添える。
改善行動まで一緒に確認する。

これだけで、スタッフの受け取り方は大きく変わります。

3.自分が抱え込みやすい仕事

・新人教育
・クレーム対応
・アポイント調整
・ドクターとスタッフの間の伝達
・患者さんへの説明
・院内の片付けや準備
・誰もやっていない雑務

優秀なスタッフほど、気づいてしまいます。
そして、気づいた人がやってしまいます。

でも、それが続くと
「なぜ自分ばかり」
に変わります。

だからこそ、抱え込みやすい仕事は見える化する必要があります。

4.自分が断れない頼まれ方

・「あなたしかできない」と言われる
・「ちょっとだけ」と頼まれる
・忙しそうな人から頼まれる
・患者さんのためと言われる
・院長から直接頼まれる
・周りが困っている空気になる

断れない人は、責任感がないのではありません。
むしろ責任感が強すぎることが多いです。

だからこそ、医院として
「一度持ち帰ってもよい」
「その場で即答しなくてよい」
「業務量を見て判断してよい」
というルールを作ることが大切です。

5.限界が近いときのサイン

・朝の挨拶が小さくなる
・表情が硬くなる
・返信が遅くなる
・ミスが増える
・患者さん対応後に疲れた顔をしている
・休憩中に一人でいる時間が増える
・面談で「大丈夫です」しか言わなくなる

ここが見えるようになると、院長や幹部が早めに気づけます。

退職届が出てからでは遅いのです。
その前の小さな変化に気づける医院が、スタッフを守れる医院です。

ただし「患者さんのため」「医院のため」が欠けてはいけない

ここで大事な注意点があります。

ワークコンディション共有メモは、スタッフの感情を何でも優先するためのものではありません。

歯科医院は医療機関です。
患者さんがいます。
予約時間があります。
治療の質があります。
チーム医療があります。
医院経営があります。

ですので、
「私はこれが苦手なのでやりません」
「この患者さんは苦手なので対応しません」
「注意されると傷つくので指摘しないでください」
という使い方になってしまうと本末転倒です。

必要なのは、権利主張ではなく、あくまでもプロとしての自己理解です。

自分はどんな場面で崩れやすいのか。
そのとき、患者さんに迷惑をかけないためにはどうするのか。
医院の業務を止めないためには、どんな共有が必要なのか。
周りにどう助けを求めればよいのか。
自分もチームも守るために、どんな工夫ができるのか。

ここまで考えて初めて、意味のあるメモになります。

つまり、ワークコンディション共有メモは
「私はこう扱ってください」というお願いメモではなく、
「私はこういう場面でパフォーマンスが落ちやすいので、こう対策します」というプロの共有メモです。

院長と幹部がやるべきこと

この取り組みをスタッフに任せっぱなしにしてはいけません。

院長や幹部がまずやるべきことは、次の3つです。

1つ目は、休みの日は本当に休める仕組みを作ることです。

休日に連絡しない。
どうしても必要な連絡の基準を決める。
休みのスタッフに聞かなくてもわかるようにマニュアルを整える。
担当者しか知らない業務をなくす。
情報を共有フォルダや院内システムに残す。

これだけでも、スタッフの安心感は変わります。

2つ目は、仕事の偏りを見える化することです。

誰が新人教育をしているのか。
誰がクレーム対応をしているのか。
誰が片付けているのか。
誰が急な欠勤の穴を埋めているのか。
誰が院長の意図を現場に伝えているのか。

見える化しなければ、負担は「なんとなく頑張っている人」に集まります。

3つ目は、評価と感謝を行動で返すことです。

「ありがとう」だけで終わらせない。
役割を明確にする。
手当をつける。
面談で評価する。
業務時間内に教育時間を確保する。
代わりの人を育てる。
休みを取りやすくする。

優秀なスタッフは、言葉だけで残るわけではありません。
「この医院は自分を大切に扱ってくれている」
と実感できるから残るのです。

まとめ

優秀な人が辞める歯科医院は、最後の退職理由だけを見ていてはいけません。

本当の理由は、その前から日々の中に出ています。

休みの日に鳴った電話。
頑張っても変わらなかった評価。
いつも同じ人に集まる難しい仕事。
言えなかった本音。
気づいてもらえなかった小さなサイン。

これらが積み重なって、ある日、静かな退職の決断になります。

求人を出し続けることも大切です。
採用活動も必要です。
でも、それ以上に大切なのは、今いるスタッフが辞めない理由を作ることです。

その一つが、ワークコンディション共有メモです。

自分が何に焦るのか。
何に傷つくのか。
何を抱え込みやすいのか。
どんな頼まれ方を断れないのか。
限界が近いとき、どんなサインが出るのか。

これを知ることは、逃げではありません。
仕事を長く続けるための知性です。
患者さんに良い医療を提供し続けるための準備です。
チームで安定して働くための技術です。

強い医院とは、スタッフに何でも我慢させる医院ではありません。

スタッフが壊れる前に気づける医院。
頑張る人を使い潰さない医院。
休むときは本当に休める医院。
仕事の偏りを放置しない医院。
患者さんのため、医院のため、スタッフのためを同時に考えられる医院。

そういう医院に、エースは残ります。

そして、そういう医院こそ、これからの採用難の時代に強い歯科医院になっていくのだと思います。

現在、申込受付中のセミナー

  • 新人スタッフ育成塾
  • スーパースタッフ育成塾
  • TCトレーニングセミナー
  • 管理栄養士採用定着成功セミナー
  • メンテ数95倍を達成した”魔法の一言”セミナー
  • 歯科医院地域一番実践経営塾ベーシックコース
  • セミナー開催スケジュール
  • セミナー開催スケジュール
  • 新人スタッフ育成塾
  • スーパースタッフ育成塾
  • TCトレーニングセミナー
  • 管理栄養士採用定着成功セミナー
  • メンテ数95倍を達成した”魔法の一言”セミナー
  • 歯科医院地域一番実践経営塾ベーシックコース
タイトルとURLをコピーしました