このブログは約 9 分で読めます
皆さんこんにちは!
歯科医院地域一番実践会のコンサルタントの渡邊です。
本日は「2026年以降のAI普及と歯科医院経営」というテーマでお伝えしてまいりたいと思います。
マクロ環境の変化と「生産性アップ」の必然性
以前から、2024年から2025年にかけての歯科業界の展望において、「デフレからインフレへの転換」「人口減少社会の到来」「金利のある時代への突入」という大きな社会構造の変化を論点として挙げさせていただきました。このような激動の外部環境の中で、私からは一貫して「生産性アップ」の重要性についてお話をさせていただきました。
誤解を恐れずに経営的側面を重視した表現にはなってしまいますが、これからの歯科医院経営においては「いかに少ない人員で、質の高い治療を高単価で実現出来るか」。そのための強固な体制づくりが、医院が生き残るための最大のポイントになってきていました。すでにこの体制づくりに舵を切っている医院様と、そうでない医院様との間では、少しずつ経営体質に差が生まれ始めていると私の経験上感じております。
2026年、AIエージェントの加速度的な普及がもたらす変化
そして2026年に入り、加速度的に日本の医療業界、そしてサービス業界全般にも起こってきそうな決定的な変化があります。それが「AIエージェントの加速度的な普及」という問題です。
これまで、日本においては接客やサービスのもともとの質が高すぎるがゆえに、「AI活用は遅れている」と言われていました。そのため、私自身も「まだ日本の歯科医院の現場にAIが本格的に入り込むには時間がかかるだろう、まだ大丈夫だ」という認識でいました。
しかし、現在のAIの進化スピードは爆発的に進んでおり、すでに様々なところで具体的な影響が出始めてくると実感しています。
患者さんの「情報収集」と「予約行動」の劇的な変化
まず真っ先に起こるのが、患者さんの情報収集が爆発的にスピードアップしていくということです。
今までは、患者さん自身がスマートフォンで近隣の歯科医院を検索し、ホームページを見比べて、口コミを読んで検討するということを「人」がやっていました。しかし、これがおそらく遠くない未来に、AIにとって代わられると思います。
次に、患者さんの連絡に関しても、下手すると患者さん自身のスケジュール帳にあわせて、AIエージェントが自動で歯科医院に電話してきたり、システム経由で予約を取ったりする時代になるかもしれません。現在、歯科医院側のAI自動応答システムの導入が先に進んでいますが、このAI同士の対応が出来ていない医院は、患者さんの選択肢から外れてしまう可能性すらあるのでは?と思うほどです。
タイパ(タイムパフォーマンス)意識のさらなる加速
自動で予約を取れるようにするといったインフラが整うと、次に予測されるのが、患者さんの「タイパ(タイムパフォーマンス)意識」が更に加速するということです。
生活の様々なことをするためのスピード感が社会全体で高まり、お会計待ちや診療台での待機時間といった時間を「仕方ない」と理解できる患者さんも急激に減っていくと考えられます。
高まるコストと「人が育つ文化」の重要性
ここで経営において問題なのは、こうした新しいシステムの導入やインフラ整備にはそれぞれに費用がかかるということです。更に、インフレと労働力不足を背景に、人件費は今後も確実に上がっていきます。
そうなってくると、今までいかに生産性の高い仕事が出来るようになっているか、といった「人が育つ文化」「教育システムの構築」が医院内に出来ているかどうかということが非常に問われます。
患者さんの限られた予算の中から、当院に価値を感じてもらい、より良い自費治療を選んでいただく。そして、ご自身の歯の健康のために何度もメンテナンスに通ってもらえる。そういった「治療の質」「対応の質」が、システムの利便性以上に重要になってくるのです。
AI時代の「ムダパ」と、人生の豊かさを提供する医院づくり
AIが加速度的に拡がっていく中では、業務の効率化が進む一方で、より多くの人が「それ以外の余った時間を“無駄”なこと、自分にとって価値に感じることにお金を使っていく」傾向が高まると考えています。
例えば、気心の知れた友人とのお食事や、家族との旅行というものは、仕事の成果や効率といった意味では無駄に感じられますが、私たちの人生を確実に豊かにしてくれます。
資本主義というのは、ある意味で自由とセットであり、自由という贅沢を享受するために、みんな一生懸命頑張るという側面があると思います。
最近の推し活などもそうですが、人はワクワクしたり、自分がより輝ける場所、自分がより良くなれる場所を目指して活動していくことも、これからさらに加速していくと思います。
世間では「ムダパ」という言葉が出てきているようですが、ムダな時間のパフォーマンスといったよく意味がわからない言葉ではあるものの、本質的には「ムダが出来る時間をつくって、そこで人生の豊かさを得たい」ということなのだと思います。
「特別な体験」でファンを生み出せるか
このような「贅沢をしたい」「心を満たしたい」と患者さんに感じてもらう医院づくりが出来るかどうかが、これからの経営のポイントだと思います。
- 先生の医院に行くと、より歯がきれいになってみんなから褒められる医院になれる。
- かみ合わせまでしっかり見てくれて、食べる時のストレスがなくなり生活の質が豊かになれることを実感出来る。
- 特別対応をされたような感覚になるスタッフ対応があり、行くと幸せな気分になれる。
このような感覚を持てる瞬間を医院の空間の中で作り出すことが出来るかどうか。先生の医院のスタッフの方の「ファン」になってくれる患者さんを生み出せるかどうか。これはとても大事になってくると思います。
技術の進歩は、最初は「その技術を導入出来るかどうか」がポイントですが、ある一定数が市場に浸透してくると、結局は「人の問題」になってくると私は考えています。
2026年は産業革命。「精神と時の部屋」に入る医院とは
今回のAIの技術進歩の本当に怖いところは、人がやっていたことを代替できる領域がかなり大きく、2026年はまさに新たな産業革命が起きたという状態になっているということです。
AIを早期に導入出来ている医院は、先生の医院のスタッフがこれまで何時間もかけて行っていることをとんでもなく短い時間で行い、その空いた時間を活用して接遇の勉強や、技術の練習が出来てしまうということなのです。
通常、新しい技術は導入すればその使い方を覚える時間のコストが発生します。浸透前の早いタイミングで導入する場合は、サービスの初期段階で不具合が生じたりするため、そういったことが落ち着いてわかってから導入するという選択肢を推奨する場合も多々ございます。
しかし、今回のAIに関しては多少のコストを支払ってでも、早期に導入をしていくことで、その生まれた時間を使って「人への時間的投資」「働きやすい環境づくり」「新たな医院の文化の構築」、これらが出来るかどうかが鍵となってくると思います。
なぜなら、人の成長は時間がかかるからです。
昔ドラゴンボールを読んだことがある方であれば、「精神と時の部屋」に入れる人とそうではない人ぐらいの圧倒的な差が出てくると思います。同じ1年という期間を過ごしても、AIで生み出した時間を人の成長に投資できる医院とそうでない医院では、スタッフのスキルや組織力に歴然たる違いが生まれます。
まとめ:組織は人なり
これからの時代、AIという圧倒的な効率化ツールをうまく経営に取り入れながらも、最終的に患者さんを惹きつけ、定着させるのは「人」の力に他なりません。
人の力を最大限伸ばすことが出来る環境づくり、そしてスタッフへの期待と承認が出来る土壌を出来た医院は、必ずや好循環の経営体制を築いていけると思います。様々な価値観が混在する時代だからこそ、やはり最後は「組織は人なり」です。人の存在を大切にする医院づくりを、共に進めてまいりましょう。











