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みなさん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会、WEBコンサルタントの茶川です。
本日は、歯科医院のシステム化にあたり、必要となる準備についてお伝えをしていきます。
なお、今回は予約システムや電子カルテなどの、WEBシステム周りについてのお話となります。
なので、オペレーションなどの分野は基本的に対象外になります。
ですが、考え方自体は様々な分野にも応用が効くので、ぜひ今回お話する内容を頭の片隅に入れておいてください。
さて、ここから本題に入っていきますが、現在多くの医院さんで、医院経営の電子化やシステム化を実施中、あるいは検討されているかと思います。
私は前職のワークスアプリケーションズで、システム開発とコンサルタント両方の職歴があるのですが、その経験から言わせて頂くと、準備が不十分なシステム導入は失敗に終わってしまうリスクが高いです。
ここで言う失敗とは、
- 導入したが結局使わなくなった(元の運用に戻った)
- 効率化に繋がらず、現場からの不満だけが残った
- 追加コストが発生し、当初の予算をオーバーした
- 導入が完遂しなかった(途中で打ち切った)
といった辺りになります。
せっかくの投資がこうした結果に陥ってしまったら、経営的に大きな打撃になるだけでなく、スタッフの不満要因ともなり、マネジメント面にも影響を及ぼしてしまいます。
では、こうした失敗に陥らないようにするには、どうしたら良いか?
それには、意思決定に至る前の徹底した『準備』が必要なので。
準備①:目的を明確化する
まず必要な準備は、目的を明確にする事です。
システムを導入するにあたり、困っている事や解決したい問題、あるいは実現したい未来などがあるはずです。
目的の明確化とは、それらを将来的にどういう状態にしたいか『言語化』しておく事を指します。
これは、例えばコスト削減、業務負荷の軽減、作業ミスの撲滅など、簡単な物で大丈夫です。
重要な事は、これらをしっかり言葉に表しておくこと、そして、可能な限り優先順位を付けておく事もポイントです。
これが、システム化を進めていくうえで非常に重要な要素になります。
それはなぜかと言うと、システム化に際して、何かを諦めたり、トレードオフのジレンマに陥ることがよく起こります。
業務的にシンプルなシステムであれば起こりにくいのですが、業務の根幹に関わるような大きなシステムの場合、色々なフェーズでこの手の問題が発生します。
この時、目的が明確になっていなければ、その場に応じた判断をする事になりますが、時と場合に応じたブレが発生してしまいがちです。
その結果、一つ一つの作業を見たら便利であっても、業務全体を見たら非効率、といったシステムになってしまう可能性があります。
部分最適の集合体が、必ずしも全体最適になるとは限らないのです。
この時、判断のブレを少なくするのが、先述した『目的』になります。
『目的』そのものが判断をする際の『軸』となるため、「あの時と言っている事が違う」といった事態に陥りにくくなるのです。
また、『目的の明確化』が必要な理由は、次に紹介する準備の内容にも繋がってきます。
準備②:現場からの理解を得る
システムを導入するにあたり、メンバーからの理解と同意を得る事は重要です。
その理由は、特にベテランスタッフの場合に多いのですが、新しい仕組みを導入する事に対し抵抗感を感じ、最悪の場合、抵抗勢力となってしまう可能性が考えられるからです。
そのため、先述した『目的』をしっかり伝え、協力者になって貰う事に注力する必要があります。
『目的』がしっかり共有されていれば、システムの導入や稼働後に、何かしら問題やトラブルが発生したとしても、スタッフ自身が解決に動いてくれる事が期待できます。
逆に、それがしっかり伝わっていなければ、問題やトラブルに対して、ほぼ毎回トップが口を出さなければならない事態になってしまいがちです。
また、共有したはずの『目的』も、時間とともに薄れていってしまいがちになります。
そのため、しつこくならない程度に、繰り返し伝えていく事も大切です。
準備③:システムをよく理解する
新しいシステムを導入するには、多くの費用がかかります。
そして、営業担当の売り言葉だったり、HPやパンフレットに記載されている言葉を見聞きすると、あらゆる問題が解決できるような考えに陥ってしまいがちです(そして、WEBシステムの場合、その期待の多くは裏切られる形になります)。
このような、
- 「これだけ投資するんだから」
- 「営業もこう言ってたし」
- 「HPにもこう書いてあるし」
といった考えや思いを抱く事は、期待値を現実以上に膨らませてしまう事に繋がりがちです。
そして、その期待値をそのままスタッフに伝えてしまった場合、最悪の事態に陥る可能性があります。
それは、その期待が裏切られた時に、協力者であったはずのスタッフが、反対勢力に回ってしまう事が起こりえるからです。
TOPもガッカリしている状況で、現場もこうした空気に支配されてしまうと、その後にプロジェクトを前向きに進める事はほぼ不可能になってしまうのです。
「これだけ投資をしたんだから」という、後ろ向きな理由でプロジェクトが進められ、担当するスタッフのモチベーションは低く、作業も遅延気味に。
最終的に担当していたスタッフも退職してしまい、プロジェクトは破綻。。
こんな、誰も幸せにならない結末を迎える可能性もあるのです。
では、こうした問題を避けるにはどうすればよいか?
それには、新しく導入するシステムを事前によく把握しておく必要があります。
現在の業務と照らし合わせて代替が可能であるか、あるいは実現したい業務の運用フローはどうなるか?
問い合わせをしたり、実際にシステムを触ってみたり、実際に使っている医院や会社にヒアリングするなどして、事前にしっかり検証をしてみる必要があります。
そして、冒頭の『目的』に立ち返り、仮に期待値の通りにならなかったとしても、その『目的』が達成できるのかどうか検証をします。
このような様々な情報を集めたうえで、最終的に費用対効果と照らし合わせ、採用可否の判断をしていく事が肝要なのです。
まとめ
さて、今回はWEBシステム導入で必要となる、『準備』についてお話をしてきました。
ここまで読んで頂けると、3つ挙げたポイントのうち、明らかに一つだけ重要な物がある事がわかるかと思います。
それは、冒頭で挙げた『目的の明確化』です。
私が過去に目にした失敗事例の大半は、ここがあやふやでした。
例えば以下のような具合です。
- 安いから
- 評判が良いから
- あの医院(会社)から紹介を受けたから
これらをきっかけにして、製品を認知したり、医院の問題点を認識する事は全く問題無いのですが、この時点で安易に意思決定をしてはいけません。
また、これらの感情に振り回され、目的が付け焼き刃になってしまうのもNGです。
ここで、最後に大事な観点をお伝えしておきます。
その『目的』は何としても達成したいものなのか?
最終的な意思決定をする前に、この自問自答を繰り返して行ってみてください。
システムの導入は、それが大規模で金額が大きくなればなるほど、失敗のリスクも高くなっていきます。
当初描いていた希望通りの結果に導くためにも、本日お伝えした内容はぜひ忘れないで頂ければと思います。