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皆さん、こんにちは!地域一番実践会コンサルタントの太田です。
今回はスタッフが主体的に働ける職場についてお伝えしていきたいと思います。
院長が思い描くビジョンがスタッフに伝わていますか?
一般的な企業では経営理念や経営目標をもとに、3年後・5年後のビジョンを立て、経営計画を立てていきます。それをもとに年間目標を立ててから月間、週間、日ごとに進捗を確認していきます。
多くの院長先生も目標や計画は持っているかと思いますが、その目標や計画はしっかりと数値化、文章化されていますか?
多くの医院では目標が数値化、文章化されていない為、先生としては一貫性のある取組や内容と思っていても、スタッフからすれば院長先生がまた突飛な事を言い始めたと、受け取られてしまっている医院が多いように感じます。
トップダウンから自走型組織へ
小規模な医院では、院長がすべてを主導するトップダウンのマネジメントから始まるのが一般的です。
しかし、医院が成長するにつれて、スタッフが自ら考えて行動できる「自走型組織」へと体制を変えていく必要があります。
「うちのスタッフは自分で考えて動けない」と嘆く院長もいますが、これは多くの場合、院長が適切なチームビルディングを行っていないことが原因です。
自立しているチームを育てるためには、以下のようなステップが必要になって来ます。
1.理念とビジョンの共有: まず、医院がどこを目指しているのか、3年後・5年後のビジョンを明確にし、全員で共有する必要があります。
共有の仕方についても重要です。立ち話や朝礼、昼礼などでさらっと伝えるのでは無く。月に1度のミーティングや会議時にしっかりと伝えることが大切です。
2.KPIとアクションプランへのスタッフの巻き込み: KGI(最終目標)を達成するためのKPI(具体的数値目標)を設定し、その目標を達成するためのアクションプランをスタッフ自身が考えるように促していきます。
院長先生の方から、決まったアクションプランを指示するのでは無くスタッフ自身に考えてもらうことが重要です。
3.進捗の見える化と共有: KPIの進捗をチーム全員でオープンに共有します。単なる数字だけでなく、「この数字は私たちの理念である『患者さんを笑顔にする』につながっている」など、理念と結びつけて伝えることが重要です。
共有についてはホワイトボードやスタッフルームの壁に貼っておくなど、日々見える場所に配置しておくことが大切です。
4.リーダー層の育成: 院長だけでなく、チームをまとめられるリーダー層を育て、院長の思いをスタッフに伝えられるようにします。
ただ、仕事が出来るスタッフをリーダーに抜擢するのでは無くしっかりと院長の代弁者となるようなスタッフをリーダーに据えておくことが重要です。
5.心理的安全性の確保: 失敗を恐れず、挑戦できる文化を作っていくことが重要です。
院長自身の考え方や言動を変え、「心理的安全性」のある環境を築くことが求められます。
スタッフが自走する中で時には、失敗をしてしまうこともあると思います。その中でも決して感情的に怒ったりはせずに、次に繋がるようにスタッフと一緒に課題解決に取り組んで上げてください。
自走型組織の重要性
この変化の激しい現代において、自走型組織が重要な理由は以下の通りです。
時代の変化への柔軟な対応: 院長一人の指示だけでは、変化のスピードについていけません。
現場のスタッフが自ら課題を見つけて解決することで、組織全体の対応力が向上します。
例えば、採用についてはSNSや外部求人サイトの活用、採用ページの作成、学校訪問など、行わなければならないことが本当に多岐に渡っています。
採用一つ取っても多岐に渡っている中で院長一人で全てを指示して、管理していくことが不可能に近いと思っています。
スタッフのモチベーションと定着率の向上: 自走型組織では、スタッフは単なる「歯車」ではなく、自分の意見が尊重され、貢献している実感を得られます。この成功体験が自己肯定感を高め、離職率の低下につながります。
「新入社員意識調査」の中でもZ世代といわれる若手層が仕事をするうえで重視しているのは「貢献」「成長」「仲間」などが上位を占めています。
ただ、院長から指示されるトップダウンの組織ではこれらの価値観を与えることは難しと思います。
院長の負担軽減と本来業務への集中: スタッフが自分で考えて問題を解決できるようになると、院長の負担が大幅に軽減され、質の高い医療の提供や医院の未来を考えるといった、より重要な仕事に集中できます。
自走型組織への移行を阻む壁
しかし、自走型組織への移行にはいくつかの壁が存在します。
院長の完璧主義: 院長が「自分でやった方が早いし確実だ」と思ってしまい、スタッフに仕事を任せられない傾向があります。これを乗り越えるためには、「任せる」勇気を持ち、60%、70%の完成度でも「よし」とする姿勢が必要です。
ましてや他の医院で完成している自走型組織を横目にうちの医院は出来ていない。うちのスタッフは出来が悪いなどとは決して思ってはいけません。
スタッフの指示待ち文化: 長年のトップダウンマネジメントで「言われたことだけやればいい」という意識が根付いている場合があります。これに対しては、日々の業務の中で小さな「問い」を投げかけ、スタッフが自分で考えて行動する機会を与えることが有効です。
明確なゴールの欠如: 理念やビジョンが抽象的すぎると、スタッフは何をすればいいか分からなくなります。ビジョンを具体的な「数値」にしたり、KPIに落とし込んだりすることで、行動しやすくなります。
まとめ:成長のためのに
最終的なゴールは、スタッフ自身がビジョン達成のためのアクションプランを作成し、目標に向かう組織です。トップダウンの組織は短期的には成果を出せますが、変化に弱く脆いものです。
院長がトップダウンを続けることは、組織を動かすための初期段階です。
決して簡単では無いですが、スタッフと共に未来を切り拓く「自走型医院」になることで、より強い組織を築いていきましょう。