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皆さん、こんにちは!地域一番実践会コンサルタントの太田です。
このブログをご覧いただいている院長先生の中には、来年4月に入社してくる新人スタッフを心待ちにしている方も多いこととおもいます。カリキュラムの作成や修正、制服やロッカーの準備など、受け入れ体制を整えられている頃かと思います。
入社後、どのように教育し、医院の貴重な人財へと育てていくか。この取り組みはもちろん非常に重要です。
しかし、万全の受け入れ態勢を構築してきたにも関わらず、入社直前の3月に「辞退の連絡」が入ったり、いざ連絡を取ろうとしたら音信不通になってしまったり……。
結果的に採用ができなかった、なんて経験はありませんか?
皆様もご存知の通り、今や歯科衛生士の有効求人倍率は20倍を超えています。新卒であっても内定を出した後、数カ月間も放置していると、ギリギリまで採用活動を行っている他院に取られてしまうことは決して珍しくありません。
むしろ、早期に内定を勝ち取るような学生は、他院から見ても非常に魅力的な人財であるはずです。
そこで本日は、一生懸命採用活動を行い、内定を出した学生を「内定辞退」させないために行うべきポイントについてお話しします。

関係構築・人間関係の不安解消
内定者が最も恐れるのは「先輩とうまくやっていけるか」「院長が怖い人ではないか」という点です。
「ウェルカムランチ」の開催
診療後の飲み会ではなく、昼休みに「ウェルカムランチ」を開催しましょう。
ポイント: お酒の場が苦手な学生も多いため、ランチの方が気軽に参加できます。また、院長だけでなく年齢の近い先輩スタッフ(卒後1〜3年目)に同席してもらい、「実際の働きやすさ」や「研修内容」についてざっくばらんに話してもらうことで、入社前から安心感を持っていただくことができます。
内定者専用LINEグループの作成
事務的な連絡だけでなく、医院の日常風景やイベントの写真を共有するために、内定者専用のLINEグループを作成するのも良いでしょう。
ポイント: 連絡頻度は高くしすぎず、しかし「忘れられていない」と感じさせる距離感を保つことが重要です。質問があれば気軽に先輩に聞ける環境を作りましょう。入社後のメンターとなるスタッフと院長先生が一緒にグループに入るのがおすすめです。
「親御様への挨拶状」
内定後、院長直筆の手紙と医院パンフレットをご実家(親御様宛)へ送付しましょう。
ポイント: 内定者本人だけでなく、親御様も「娘がどのような環境で働くのか」を非常に気にされています。院長の人柄や医院の雰囲気が伝わる情報を届け、「ここなら娘を預けても安心だ」と親御様にファンになってもらうことが、辞退防止の強力なブロックになります。
スキル・業務への不安解消
新卒の学生は「即戦力を求められたらどうしよう」「ついていけるかな」という不安を抱えています。「しっかりと教育する体制がある」ことを伝えましょう。
入社前アルバイト(有償インターン)の提案
国家試験の勉強に支障がない範囲(週1回や半日など)で、歯科助手業務や見学のアルバイトに来てもらうのも有効です。
ポイント: 目的はあくまで「医院の雰囲気に慣れてもらうこと」です。ユニフォームを着て現場に立つことで、4月から働く姿を具体的にイメージさせ、帰属意識を高めます。給与を払っているからといって、過度な業務を求めないよう注意しましょう。
マニュアルやユニフォームの贈呈式の開催
入社式の前に、採寸したユニフォームと、医院オリジナルの「新人研修マニュアル」の贈呈式を行うのも良いかと思います。前述のウェルカムランチの際に行うのも効果的です。
ポイント: 「自分専用の制服」は帰属意識を高めてくれます。また、マニュアルを事前に渡すことで「何を勉強すればいいかわからない」という不安を、「これを読めば大丈夫」という安心感に変えることができます。
「メンター(相談役)」の指名
内定者の担当となる先輩スタッフ(メンター)を早期に決め、紹介しておきましょう。
ポイント: 「入社したら〇〇さんが教えてくれる」とわかっているだけで、心理的ハードルは劇的に下がります。前述しているLINEグループにもメンターを参加させましょう。
国家試験への配慮
学生にとって入社前の3月までは、国家試験で精神的に追い詰められる時期でもあります。ここでのサポートが信頼関係の決定打になります。
「応援パック」の送付
12月〜2月頃に、国家試験合格祈願のお守り、お菓子、カイロ、スタッフ全員からの寄せ書きメッセージカードなどをセットにして送ります。
ポイント: 「勉強頑張ってね、医院のみんなで応援しているよ」というメッセージは非常に響きます。単なる就職先以上の「仲間」としての絆を感じてもらえます。
試験直後の「お疲れ様会」
国家試験が終わった直後(合否発表前)に、慰労会を開きましょう。
ポイント: 結果に関わらず、まずは試験勉強の労をねぎらいます。入社直前のタイミングで顔を合わせることで、4月1日の初出勤へのハードルを下げることができます。内容はウェルカムランチと同様でも構いません。
施策実施のスケジュールイメージ
辞退防止には「接触頻度」の管理が重要です。
| 時期 | 内定者の状況 | 医院側のアクション(例) |
| 〜10月 | 内定承諾 | ・ウェルカムランチ(月に1度程度開催)
・メンター紹介 |
| 11月〜2月 | 国試勉強本格化 | ・定期的なLINE連絡(応援メッセージ)
・応援グッズの送付 |
| 3月 | 国家試験
卒業・引越し |
・試験当日の「頑張れ」LINE
・試験終了後の「お疲れ様」連絡 ・入社手続き書類の送付 ・ユニフォームお渡し ・入社前オリエンテーション |
重要なのは「いつでも相談できる相手」になること
多くの新卒者は、複数の医院から内定をもらっているか、あるいはギリギリまで迷っています。
他院と比較された際、最終的に選ばれるのは「条件が良い医院」よりも、「自分のことを気にかけてくれた医院(人が良い医院)」であるケースが圧倒的に多いです。
新卒者の方を家族と同じくらい大切に考え、寄り添ってあげることが重要です。
医院と新卒者、双方にとって良い関係性を築き、4月から最高のスタートダッシュが切れるよう、今から準備していきましょう!














