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こんにちは!
経営戦略研究所株式会社 経営コンサルタントの山ノ内です。
今回は矯正歯科専門医院の基本的なマーケティングの取り組み、「検査移行率アップ」に向けたテーマでお伝えしたいと思います。
【現状把握】数字を“感覚”ではなく“データ”で捉える
まず大切なのは、現状を「正確に可視化すること」です。
「なんとなく移行率が低い」「最近検査が減っている気がする」といった感覚的な判断では、改善策を立てることができません。
次のようなデータを月ごと、累計で集計するだけでも、ボトルネックが明確になります。
- 初診相談件数
- 検査移行件数
- 移行率(=検査件数 ÷ 相談件数)
- 成約件数(契約まで進んだ人数)
但し、この数値だけで判断すると、良し悪しを「カウンセリングスキル」の側面から判断しがちになります。属性(年齢・性別・主訴・地域・来院経路・住所等)も含めて分析すると課題の本質にたどり着くことがあるので、そこも一つのポイントです。
課題の本質を知ることができれば、解決もおのずと視えてきます。歯科医師の先生方がいつも治療する前に診査診断をするのと同じ行程です。治療の結果が診査診断の精度に影響されるのと一緒で、マーケティングの効果も現状把握の精度に大きく影響されます。
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【フォローアップシステム】LINE活用で“検査へのハードル”を下げる
検査移行率が低い理由の一つに、「一度帰宅すると予約を取りづらい」「気持ちが冷めてしまう」という心理的ハードルがあります。
ここを解消する一番の方法は、相談当日に検査予約をすることですが、「家族と相談したい」「他院と比較したい」という患者さんの声も少なくありません。ただ、それを仕方ないからと回答待ちになるのではなく、こちらからフォローをするのが重要です。
フォローするに当たって、最近では電話を出てくれない人も多いですし、メールでは気づかない人も多いです。LINEヤフー会社の調べでは、メルマガの開封率が10~30%に対して、LINE公式アカウントは60%だという調査報告もあります。これを活用しない手はないですね。下記に簡単な手順を記載します。
手順① 初診時にLINE登録を促す
初診カウンセリング時に「ペーパーレス推進の関係上、資料をLINEでお届けしております」と案内し、自然な形で登録してもらいます。
この段階で登録しておけば、後日のフォローがスムーズになります。
手順② LINEでの検査予約を可能にする
「電話での予約はハードルが高い」「診療時間中は連絡がしづらい」という声も多いので、LINEで検査予約を受けるのも一つの方法です。LINE上での検査予約を受け付けるようにすることで、患者の行動のハードルを一気に下げられます。
また、相談したい時、予約したい時に近くにいる存在でありつづけることが大事だと思いますので、LINEの友達ブロックされない程度の頻度でお知らせ等を配信するのも良いかと思います。個人差があるので、あくまでも例ですが、1週間後フォロー⇒1ヶ月後フォロー⇒??ヶ月後フォロー
あとは、値上げ前のタイミングでのお知らせなどになるかと思います。
【検証】相談後アンケートを不定期に実施し、PDCAサイクルを回す
検査移行率を上げるためのもう一つの重要なポイントは、患者の“本音”を定期的に収集することです。
「なぜ検査に進まなかったのか」「他院と比較して何が不安だったのか」
これらは日常の会話からは拾いきれない情報です。
不定期でもよいので、初診相談後アンケートを実施することをおすすめします。
たとえば、以下のような3問だけでも十分です。
- 当院の説明は理解しやすかったですか?
- 今回検査予約を行わなかった理由を教えてください。
- 今後どのようなサポートを望まれますか?
Googleフォームで作成すれば簡単に収集できるので、回答率も高まります。
そして、集まった結果はスタッフ全員で共有し、改善策を検討します。
「費用の説明がわかりづらい」と感じた人が多ければ、料金表を見直す
「家族に相談してから決めたい」という声が多ければ、家族向けの資料を作成する
このように、データ→分析→改善→再検証というPDCAサイクルを回すことで、移行率は着実に上昇してくると思います。
「スタッフが患者心理を共有できるようになった」
「説明の一貫性が生まれた」
「スタッフの説明へのモチベーションが上がった」
といった副次的な効果も得られています。
【まとめ】仕組み化(システム)とPDCAサイクルが医院成長のカギ
検査移行率を上げるために必要なのは、「根性論」ではなく「仕組み化(システム)」と「PDCAサイクルを回す」ことです。
カウンセリングスキルの向上だけでなく、フォローアップ導線の設計と、定期的な振り返りを組み合わせることで、成果になる可能性が高まります。
矯正専門医院の経営は、単に相談数を増やすだけでなく、「どれだけの相談を成約へつなげられるか」が成長の分岐点です。
データに基づいた改善を積み重ね、患者さんが安心して次のステップへ進める医院づくりを目指しましょう。