【学術論文活用シリーズ2】イケメン歯科医師のほうが患者満足や信頼は高いのか?

患者様満足度アップ

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歯科医院地域一番実践会の五島光です。私は歯科医院専門のコンサルタントとして15年ほどの経験があります。全国の歯科医院の皆さんが着実により強い医院になるためのお手伝いをさせて頂いています。また、それだけではなくて、この写真にある通りスーパーTC育成塾、スーパーTCアドバンスというセミナーでメイン講師を務めています。さらに社会人大学院に通っておりまして学位を取るための研究をしています。専門は消費者行動、サービスのマーケティング・マネジメントです。

さて、今回は「学術論文を活かすという」テーマでお伝えしたいと思います。皆さんの現場で役立てられるような学術研究をご紹介します。

タイトルは「イケメン歯科医師のほうが患者満足度が高くなるのか」です。イケメン歯科医師とは一体なんだというふうな感じなんですけども、まあ確かにイケメンのほうが満足度や信頼が高まりそうですよね・・・。

実際の論文のタイトルは実はほぼ同じようなタイトルが実際に存在しますそれがこれです。トムクルーズって書いてありますけどもこれを日本語に訳すと「もしもあなたの歯医者さんがトムクルーズ似だったら~サービスエンカウンターへのマッチアップ仮説の適用~」です。

ちょっと後半の言葉は難しいんですけど、なんとなくトム・クルーズ似のイケメンの歯医者のようなかっこいい歯医者さんが実際に治療にあたったら患者さんの満足度がどうなるのかな、ということが調べられています。まず前提知識としてこの二つの言葉「サービスエンカウンター」「マッチアップ仮説」というちょっと難しい言葉に関しては少し解説をしたいと思います。

サービスエンカウンターもマッチアップ仮説もそこまで難しくないので、ここで読むのをあきらめず、最後までしっかりお読みください。

まず一点目サービスエンカウンターなんですけども、エンカウントは簡単です。RPGで敵に出会うのを「エンカウントする」みたいに言います。エンカウントっていうのは遭遇するとか出会ういう意味なので、サービスエンカウンターとは「サービスの現場」という意味です。ここでは歯科医療の現場、すなわち歯科医院だと思ってください。

実はサービスの特徴は伝統的に4つがあると言われています。「無形性」「異質性」「消滅性」「同時性」です。ちょっと漢字だらけで難しく感じてしまいますが、サービスというのは(このブログ記事やYouTube動画も含める)身近にあります。歯科医院も歯科医療サービスということができます。まれに医療はサービス業ではないと主張する方がいますが、農業でも製造業でもなく、サービス業(その中に細分化されて医療があります)です。だいたいそういう主張をする人はサービス業関係者を見下していて「自分たちはもっと立派な仕事をしている」と思っている節がある気がします。仕事に貴賤はないはずです。・・・ちょっと横道にそれたので軌道修正しましょう。

無形性は文字通り、形がないということです。歯科医療では歯ブラシや被せ物・詰め物ように形は確かにありますが、多くの先生方が提供しているのは治療技術や知識で、そういったものには形がありませんよね。形がないものを提供するのがサービスの特徴の1つです。

異質性ですが、これは文字だけではわかりにくいと思います。異質性とは提供する人々によって、例えば、院長先生と勤務医の先生だったら治療技術が違います。ベテラン歯科衛生さんと入ってきたばっかりの歯科衛生士ではサービス提供の結果が異なります。つまり、サービスを提供するサービス提供者にほって結果が変わってきますということです。消滅性は「サービスは形がないものですし、その結果在庫にできない」ということです。これは当たり前ですね。

最後の同時性は、サービスは提供されるその場にいないといけないということで、その通りですね。もちろんオンライン治療では空間は同じ場所でなくてもいいかもしれませんが、提供している間の時間は拘束されますし、サービス提供と受容が同時に行われています。治療する歯科医院はその場に患者さんがいないと行けないし、同時性は大いに関係あります。将来的に歯科でも遠隔治療ができればいいですが、まだまだ先の話です。

以上のようにサービスには4つの特徴があるんですけども、今回は特に「無形性」が関わってきます。歯科医療サービス自体は目に見えない(もちろん治療された歯が綺麗になったというのは目で見えるんですが、治療の技術・知識自体は目に見えないですよね)ために、顧客である患者さんはサービスの善し悪し、歯科医院の良い悪いを何で判断するか、というのが重要です。

サービスが目に見えないんだったら患者さんは一体何で歯科医院の良い悪いの判断するのでしょうか? それはサービスの提供者とサービスの環境です。

患者さんは目に見える部分、患者さんは治療に関しては素人さんですから痛いか痛くないかとか優しい優しくないかくらいは判断できるのですが、どんな治療をされたか、口の中で行われていることは判断しづらいです。ちょっと違和感があるとか痛みがある、不快感があるならわかりますが、何も感じなければ何もわからない。だからサービス提供者、歯科医師や歯科衛生士、受付の方とかの態度や言動が目に着いてしまうわけで、そこで判断をしがちです。つまり、サービス環境、スタッフの人柄・言動・態度行動といったものは目につくようになりやすいわけです。今回の研究ではドクターとかスタッフに注目しています。対応してくれる人がイケメンの場合だったらどうなるんですかということが分析されています。

2番目のマッチアップ仮説ですが、イメージとしては広告業界に関係することなんですけども「商品広告・商品のイメージがその商品の評価に影響を与えてしまう」という仮説です。直観的にはわかると思います。

例として、化粧水とか香水のようなおしゃれ系の魅力的な商品であれば、かっこいいとかかわいい綺麗なモデルの方が評価高まるということです。当たり前っちゃ当たり前の仮説ですね。化粧水なら魅力的なモデルがいいのですが、文房具では当てはまらないです。文房具とかティッシュの取り扱いでイケメンとかも出るのですが、広告の効果には関係なく商品の魅力は高まらないということです。魅力的な商品だったらば魅力的なモデルと広告がいいということです。魅力的とはイケメンのような身体的魅力のことです。

さて、ここまでの話を踏まえて(長かったですね)、ようやく本編に入ってきます。今まで文房具とか化粧水のような物・製品だったのですが、それでは魅力的なサービスとそうでないサービスでは身体的魅力の影響はどうなるだろうか、です。残念なことに、この研究では魅力的サービスはヘアサロンで、そうでないサービスの代表として歯科医院(歯科検診)が挙げられています。悲しいことですが仕方ありません・・・

身体的魅力が低・中・高のスタイリストさんが出てきた場合のヘアサロンサービスの評価という身体的な魅力が低・中・高の歯科医師が対応した歯科検診の場合の「専門性」「信頼」「品質」を評価する実験を214名分行っています。

結果としてどうなったかというと、なかなか面白い結果が出てきています。まず信頼性についてですが、グラフを見てください。縦軸が信頼性、横軸が身体的魅力(イケメンの先生が来た場合・中くらい・イケメンじゃない場合)です。▲がヘアサロン、■が歯科医院です。ヘアサロンの場合は、イケメンであるほど直線が上がっています。イケメンほど信頼性の評価が上がるということです。

歯科医院の場合は山型になっていますね。イケメン度が低い場合は4.1ぐらい、中ぐらいoおよそ5、イケメン度高の場合は4.2ぐらいです。イケメンすぎると下がってしまうような結果になって、どうやら歯科医院の場合はイケメンすぎるといい結果にはならないようです。

専門性の評価はどうなっているかというと、同じようにヘアサロンは右上がりで、歯科医院は山型になっています。三角マークだったらイケメン度が高い方が星の評価も高くなってしまうけども、さっきと同じように歯科医院の場合は専門性も中くらいのイケメンの方が良く、イケメン度が高すぎても低すぎても良くない、評価されにくいことがわかります。

品質も同じようなパターンになっています。研究の結論としては歯科医院の場合はどうも先生の外見はそこそこで良いらしいということが分かりました。魅力の磨きすぎも良くないし磨きなさすぎも良くないほどほどがいいよっていうことです。

注意点としては、セラミック治療はホワイトニングを打ち出している歯科医院の場合は結果が異なるかもしれません。審美歯科、マウスピース矯正をアピールすると「魅力的なサービス」に当てはまるでしょうから 、この結論から言うと、ヘアサロンのようにイケメン度が高いほうがいいかもしれません。

イケメンで最も綺麗な方が良いと言うんじゃないかなと思ってます 天気はないようです最後にまとめです。今回は研究論文の中からちょっとおもしろいものを持ってきました。一般的な歯科の場合は、イケメン度は中くらいでよく、イケメンじゃないからといってがっかりしない、魅力度は真ん中でいいということです。少なくとも清潔さは大事かなと思います。いくらイケメンであっても鼻毛が出ていたらダメでしょう。清潔さは大事にしてほしいです。

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