ケチな経営者は長期的には損をする

歯科医院経営ブログ

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皆さん、こんにちは!

歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。

今回は少しインパクト強めのタイトルではありますが、全国の歯科医院を見ている中での所感をお伝えします。

少し耳の痛い話になるかもしれませんが、クリニックの「長期的繁栄」と「スタッフの定着」において、避けては通れない非常に重要なテーマです。

それは、「人件費に対する考え方(ケチな経営の代償)」についてです。

もし今、先生の医院で「仕事ができるようになった3〜4年目のスタッフが辞めていく」という現象が起きているなら、この記事はまさに先生のために書かれたものです。

3〜4年目のスタッフが辞める「本当の理由」

入職して3〜4年目。この時期は、スタッフが業務を一通り覚え、医院の戦力として最も輝き始める時期です。患者さんとのコミュニケーションも円滑になり、阿吽の呼吸で診療補助につき、医院の理念も理解してくれる。

そんな「これから」という時期に、彼女たちは退職届を出します。

表向きの理由は「実家の都合」や「新しいことへの挑戦」かもしれません。しかし、本音の多くはもっとシンプルで、切実なものです。

「これだけ貢献しているのに、給料が変わらない(昇給が少ない)」

「院長は私たちを安く使うことしか考えていない」

ここに気づけない院長先生が、実は非常に多いのです。

貢献度と対価の不均衡

具体的な数字で考えてみましょう。

例えば、ある優秀な歯科衛生士が月に20万点の保険点数を上げているとします。

月20万点であれば、年間で240万点。金額に直せば、年間約2,400万円の医業収入を彼女一人が生み出していることになります。

彼女たちは、自分たちがどれだけの売上を作っているか、肌感覚で、あるいは数字として理解しています。

それに対して、毎年の昇給額はどうでしょうか?

もし、月額1万円の昇給を渋っているとしたら、それは経営判断として正しいと言えるでしょうか。

月1万円の昇給は、年間で賞与を含めても十数万円〜二十万円程度のコスト増です。

2,400万円を生み出すプレイヤーに対して、そのわずか1%にも満たない還元のアップすら渋る。

スタッフは馬鹿ではありません。

「私はこれだけ稼いでいるのに、院長はたった1万円も惜しむのか」

そう感じた瞬間、院長への「信頼」は音を立てて崩れ去ります。

「給料がすべてではない」というのは、経営者が言ってはいけない言葉です。それは、十分な対価を払っている経営者だけが言えるセリフであり、対価を払っていない状態で言えば、それはただの「やりがい搾取」と捉えられてしまいます。

「ケチ」が招く負のスパイラル

昇給を渋る院長先生の多くは、「人件費=コスト」としか見ていません。しかし、優秀なスタッフは「投資対象(資産)」です。ここを履き違えると、恐ろしい負のスパイラルが始まります。

結局、コストは高くつく

3〜4年目のベテランが辞めるとどうなるか。

当然、新しい人を採用しなければなりません。

求人広告費に数十万、紹介会社を使えば年収の20〜30%(場合によっては100万円以上)がかかります。

さらに、新人が戦力になるまでの教育コスト、その間の診療効率の低下を含めれば、損失は計り知れません。

そして皮肉なことに、昨今の人材不足市場では、新人の初任給相場が上がっています。

「既存スタッフの1万円の昇給を渋った結果、ベテランが辞め、それより高い給与で未経験者を採用する」

という、笑えない状況に陥るのです。

最終的に周りの相場に合わせて賃金を上げざるを得なくなるなら、最初から既存の貢献してくれているスタッフに還元すべきでした。そうすれば、お金だけでなく「恩義」や「忠誠心」も残ったはずです。

短期的視点しかないリーダーからは、人が離れる

「ケチ」というのは、単にお金を出さないことではありません。

「自分さえ良ければいい」という短期的視点のことです。

スタッフは敏感です。

「院長は自分の利益確保が最優先で、私たちの生活には興味がないんだな」と見抜きます。

短期的視点しか持たないリーダーについていっても、自分の将来(長期的なキャリアや生活の安定)が見えないのです。

「この人と一緒に働いても、幸せにはなれない」

そう判断されたら、どんなに立派な理念を掲げても、人は離れていきます。

たとえ一時的に医院が成功してお金が儲かったとしても、周りには誰も残っていない。そんな寂しい経営者になりたいでしょうか?

 

「高額な機械」と「スタッフの給与」の矛盾

もう一つ、スタッフの不信感を決定的にするアクションがあります。

それは、「スタッフの昇給は渋るのに、高額な医療機器はポンと買う」という行動です。

もちろん、診療の質を高めるための投資は必要です。

しかし、問題なのはその「順序」と「活用度」です。

使う予定も明確でない、あるいは医業収入に直結しない何百万円、何千万円もする機械を、「節税だから」「今後使えそうだから」という理由で購入する。

その一方で、「経営が厳しいから」「原資がないから」と言ってスタッフの給与を据え置く。

これは、スタッフから見れば「私たちの生活よりも、院長のおもちゃ(機械)の方が大切なんだ」というメッセージに他なりません。

さらに最悪なのは、その高額な機械が埃をかぶっているケースです。

投資回収(ROI)の意識もなく、ただ買っただけの機械。

それが診療室の隅にあるのを見るたびに、スタッフは思います。

「あのお金があれば、私たち全員の給与を上げられたのに」と。

これは経営ではありません。

院長の「個人的なゲーム」にスタッフを巻き込んでいるだけです。

スタッフは院長のゲームの駒ではありません。

彼女たちにも生活があり、家族があり、人生があります。

そこへの想像力が欠如していると言わざるを得ません。

経済環境の変化と「相談相手」の不在

今、日本はインフレ局面にあります。消費者物価指数は上昇を続け、インフレ率は2%を超えています。

参考資料

つまり、「給料が昨年と同じ」ということは、実質的に「給料が下がっている(生活が苦しくなっている)」のと同じなのです。

この経済感覚を持たずに、「うちは昔からこの給与体系だから」とあぐらをかいていては、スタッフが生活防衛のために転職するのは当たり前です。

医業収入を上げる努力は必須です。

しかし、上がった分を内部留保や院長の個人の懐、あるいは無駄な設備投資に回すのではなく、「スタッフへの還元」を必須項目としてセットで考える必要があります。

私たち(コンサルタント)もサポートできない時

「スタッフが定着しない」と私達に相談していただく先生も増えています。

しかし、ここまで述べたような「マインド」が変わらない限り、どんな優秀なコンサルタントが入っても状況は改善しません。

  • スタッフへの感謝がない
  • 数字(成果)に対する正当な評価がない
  • 自分のお金の使い方(浪費)を棚に上げて、人件費を削る

このような姿勢が見えれば、まともなコンサルタントほど「この院長には何を言っても無駄だ」と愛想を尽かします。

裸の王様になり、誰からも本音の助言をもらえなくなり、最後は孤独になる。それが「ケチな経営」の行き着く先です。

経営者としての「器」を広げる

厳しいことを書き連ねましたが、これもすべては先生の医院が「スタッフも院長も幸せな、長く続く医院」になってほしいからです。

3〜4年目のスタッフが辞めずに定着し、5年、10年と医院を支えてくれる。

新人が入れば彼女たちが教育し、院長のイズムを継承してくれる。

そんな組織こそが、真に強い組織であり、長期的な成功をもたらします。

そのために必要なのは、高額な機械でも、魔法のような集患テクニックでもありません。

「稼いでくれた分は、しっかり還元する」

「スタッフの生活を、インフレ以上に豊かにする責任を持つ」

この覚悟を決めることです。

もし今、昇給を迷っているなら、思い切ってスタッフに投資してください。

無駄な機械を買うのをやめ、その分を給与原資に回してください。

「院長は私たちのことを大切にしてくれている」

そうスタッフが心から思えた時、彼女たちは2,400万円以上の価値を、そしてお金には代えられない「信頼」という資産を、医院にもたらしてくれるはずです。

長期的視点を持ちましょう。

自分のゲームではなく、本当の「経営」を始めましょう。

もしマネジメントに困っているようであれば無料経営相談をさせていただきます。こちらよりご相談ください。

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