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皆さん、こんにちは! 歯科医院地域一番実践会コンサルタントの太田智之です。
皆さんの医院においても4月に入った新人スタッフも、そろそろ一人で色々な業務をこなせるようになってきた医院もあるんじゃないでしょうか。そんな中で、私が訪問している医院でよく感じるのは、新人スタッフはカリキュラムや「新人スタッフ育成塾」でイキイキと頑張っているのに、あれ?2年目・3年目のスタッフの様子がちょっとおかしいな…?ということ。そこで今回は、そんな2年目・3年目スタッフの教育についてお話ししたいと思います。
皆さんの医院でも、採用活動や新卒スタッフの育成にすごく力を入れていると思います。でも、少し立ち止まって考えてみてください。苦労して採用し、手塩にかけて育てた1年目のスタッフが、2年目、3年目になった時、その成長って、なんだか鈍化していませんか?
「最近、なんだか元気がないな…」「前みたいな活気がないな…」って感じること、ありませんか?それは彼女たちのモチベーションが下がっている可能性があるので注意が必要です。
採用の成功は育成が出来て初めて完成する
多くの歯科医院で、採用活動は本当に大切な取り組みのひとつですよね。求人を出したり、説明会を開いたり、スカウトメールを送ったり、学校訪問を行ったり、ものすごい時間と労力をかけてやっと採用して、期待の新人スタッフを採用されたと思います。そして、新卒スタッフに対しては、入社時の研修、業務マニュアル、OJTなど、手厚い教育カリキュラムを用意して、しっかりスキルアップを支援されていると思います。
しかし、2年目、3年目になったスタッフに対して、新卒の頃と同じくらい情熱を持って、その成長を支援できていますか?
もし、彼女たちが「新人への教育は手厚いけど、私たちはもう見てもらえないんだな」って感じているとしたら、それは非常に危険です。彼女たちはもう「新人さん」じゃありません。医院の「中堅」として、将来を担う貴重な存在なんですから。それなのに、具体的な目標や学ぶ機会が与えられず、ただ毎日の業務に追われているだけでは、モチベーションが下がってしまうのも無理はありません。
2・3年目スタッフの「心の声」に耳を傾けてみませんか?
「なんだか最近、2・3年目スタッフのモチベーションが下がっている気がする…」もしそう感じているなら、彼女たちの中にはいろんな思いが渦巻いているはずです。新人の頃は、明確な教育カリキュラムがあって、「これを覚えれば一人前になれる!」っていう目標がハッキリしていたと思います。日々新しい知識や技術を身につける喜びがあって、成長を実感できていたことでしょう。でも、2年目、3年目になり、基本的な業務はこなせるようになったけど、その先に何を目指せばいいのか、目標が見えなくなっていませんか?
「新人の時は手厚く教えてもらえたけど、今はもう教えてくれる人がいないな…」
「新しい子が入ってきて、院長先生や先輩の関心がそっちに向かっている気がする…」
「今のままで、私、成長できるのかな?」
「将来、どんな歯科衛生士(歯科助手、受付)になりたいのか、目標が見つからない…」
「もっと専門的な技術を学びたいのに、その機会がない…」
彼女たちの中にはこんな思いを抱えている方もいるかもしれません。この気持ちを放置してしまうとそのうち「このままでいいのかな?」っていうぼんやりとした不安になり、最悪の場合、辞めることを考えてしまうことにもなりかねません。せっかく苦労して採用し、ようやく戦力になってくれたスタッフを失うのは、医院にとって本当に大きな損失です。
2・3年目も「当たり前」に教育カリキュラムを!
だからこそ、2年目、3年目のスタッフに対する教育カリキュラムを整えることは、新卒スタッフへの教育と同じくらい、いや、それ以上に大切なんです。彼女たちはもう医院の業務を理解していて、患者さんとも良い関係を築きつつあると思います。このタイミングで、さらに一歩先のスキルや知識を習得できるチャンスを提供することが、彼女たちのモチベーションを保ち、成長をグッと加速させるカギになります。
具体的な教育カリキュラムの内容は、一人ひとりのスタッフがどんなキャリアを目指しているか、どんな役割を担っているかに合わせて、下記のように色々な角度から設定するのが理想的です。
「チーフ候補」コース
将来的に医院の中心となって活躍するリーダー候補には、マネジメントやコミュニケーション、チームをまとめる力に関する知識やスキルを体系的に学んでもらうカリキュラムが必要です。患者さん対応だけでなく、スタッフ間の連携をスムーズにして、医院全体のパフォーマンスを上げる能力を養うことが目的です。
「歯科衛生士専門」コース
歯科衛生士としての専門性をさらに高めたいスタッフには、歯周病治療の専門知識、インプラント周りのメインテナンス、ホワイトニングの最新技術、口腔内写真の撮影技術など、もっと高度な臨床スキルを身につけられるカリキュラムが有効です。専門性を深めることで、患者さんへの提供価値も上がり、結果的に医院の信頼度アップにもつながります。
「TC、管理栄養士などのスペシャリスト」コース
歯科助手や受付スタッフの中には、TCとして患者さんの治療計画をサポートすることに意欲を見せるスタッフや、最近では管理栄養士の資格を活かして栄養指導に特化したいと考えるスタッフもいるでしょう。彼らの専門性を伸ばし、患者さんへの貢献度を高めるための専門的なカリキュラムを準備することで、自分の仕事に誇りを持ち、長く働き続けたいという気持ちを引き出すことができます。
このように、一人ひとりのスタッフが「何を学びたいか」「どうなりたいか」という思いに寄り添い、彼女たちのやる気を高める為に、具体的な目標設定とそれに合った教育の機会を提供することを心掛けましょう。
カリキュラム作成が難しければ外部セミナーも活用!
「とはいえ、忙しい毎日の中で、それぞれのカリキュラムを全部自分で作るのは大変だな…」そう思われる院長先生の気持ちも十分に分かります。必ずしも医院ですべてのカリキュラムをゼロから作り上げる必要はありません。
下記のような医院外セミナーや研修プログラムを積極的に活用するのも、すごく効果的な方法です。
「TC育成」セミナー
患者さんとのコミュニケーション能力やカウンセリングスキルを磨くためのTC育成セミナーは、患者さんの満足度向上に直結します。さらに患者さんとの信頼関係を深め、治療への理解を促すことで、医院の評判アップにも繋がります。
「中堅スタッフ向け」セミナー
将来の幹部候補となる中堅スタッフには、チームをまとめる力や問題解決能力を養う「スーパースタッフ育成塾」のようなセミナーが有効です。これにより、院長先生の負担を減らし、医院全体の生産性を高めることできると思います。
「技術系」セミナー
最新の歯科医療技術や器具に関するセミナー、SRPなどの特定の治療法に特化した実習セミナーなど、臨床スキルをアップさせるための機会を設けることで、術者としてモチベーションを上げることも可能です。
これらのセミナーへの参加を積極的にサポートし、学ぶ機会を提供することで、スタッフは自分の成長を実感し、「医院に大切にされているな」と感じることができます。そして、そこで得た知識やスキルを医院へ還元することで、医院全体のレベルアップにもつながります。
医院の「宝」を「大きな財産」に!一緒に未来を創っていきましょう!
繰り返しになりますが、苦労して採用した大切な新人スタッフを、ただの「新人」で終わらせてはいけません。彼女たちを医院の「戦力」そして将来的には医院を支える「中堅スタッフ」、さらには「幹部スタッフ」へと育てていくのは、院長としての大切な仕事であり、最大の責任でもあります。
スタッフ一人ひとりが輝き、成長することで、医院全体が活性化し、患者さんの満足度も向上します。「医院のため」「患者様のため」「自分のため」にしっかりと教育することが、結果的に医院が発展していく道につながります。
「ほったらかし」は、宝物をただの石ころにしてしまうようなものです。彼女たちが持っている無限の可能性を引き出し、医院の未来を一緒に創っていく。
そのために、2年目、3年目のスタッフに対する教育投資を「未来への投資」と捉えて、一緒に頑張っていきましょう!