【選手目線3つのポイント】早稲田大学ラグビー部の最強チームの作り方

モチベーションアップ

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みなさん、こんにちは。

歯科医院地域一番実践会 地域一番ディレクターの岡本雅史です。

 

私は大学時代に早稲田大学のラグビー部でプレーをしていたのですが

長年低迷していたチームがどのような過程を経て最強チームへと

生まれ変わっていったのか。

その要因を1選手の目線からお伝えして、チーム作りの

ヒントにして頂きたいと思います。

 

 

まず私が所属していた時代の前後の

チームの成績はこのような形になっています。

この赤く囲ってある部分が私が所属していた4年間になります。

 

入学した当時は、10年間、大学王座から遠ざかっていた時代です。

大学2年までは、2回戦敗退で、お正月を超えられない状態でした。

 

大学3年生の時に清宮克之監督がラグビー部の監督に就任されて

状況が一変しました。

ちなみに清宮監督は、日本ハムファイターズの清宮幸太郎君のお父様です。

 

どのような過程を経てチームが変革していったのか。

監督目線の話は、講演会や著書を読んでいただきたいと思いますが、

プレイヤーからどのように見えていたのか、という点をお伝えしたいと思っています。

 

まず1つ目が、練習の改革。

私が2年生くらいのときまでは1日6時間くらい練習していました。

大学がの授業が終わって16時にグラウンドに集合して、

そこからだいたい22時くらいまで練習をしてました。

 

練習内容も、何かに特化した練習、というよりも

試合の流れに沿った実戦形式の練習ではありますが、

「走れば走っただけ強くなる、やればやっただけうまくなる」

という質より量、的なものが多かったかもしれません。

 

全体練習が終わった後も、ポジションごとに分かれて練習をするのですが、

厳しめに全体練習をした後で、これまた激しく長く練習が続くために、

集中力も途切れたり、けが人が出やすかったのも、このポジション練習でした。

 

ポジション練習後に、個人練習やウェイトトレーニングをしますが、

へとへとな上に時間も遅く、グラウンドの片付けなどもあるため、

そこそこになっていたのではないかと思います。

 

これが、清宮監督就任後に、練習時間が1日2時間に短縮されました。

もちろん、当時の体育会の常識は「やればやっただけうまくなる」というものだったと思いますし、

恐らくOB会の反対なんかもあったんじゃないかと思います。

 

 

2時間の練習は、「目的意識が明確になった練習」にかわりました。

 

たとえば、ジャッカル。倒れている相手選手のボールを奪う事をジャッカルといいますが、

それまでも、試合形式の流れの中で、相手のボールを奪う事はしていましたが、

特段「そのための練習」というものはありませんでした。

ただ、ジャッカルは、相手のボールをマイボールにする、試合の流れを変える重要なプレーです。

 

そのため、それまではなかった、

寝ている相手のボールを奪うための練習をするようになりました。

 

その時に、どういう姿勢だったら、相手がタックルに来ても倒れないか、

地面に手をつくと、倒れこみという反則を取られてしまうので、どこに手をつくのがバランスが良いか、

そして、ボールに対してどういう絡み方がボールを取りやすいのか、

そして、「離せ!」と言って、相手が離していない事をレフリーにアピールする。

 

これらを一人ずつ何回も練習します。

そうすると、当然試合の時に、ジャッカルがめちゃくちゃうまくなる。

 

こういう感じで、重要なポイントを絞って練習をして、

終わった後はまだ時間も体力もあるから、自主練も筋トレもできる。

 

練習すればやっただけうまくなる、という根性論ではなく、

明確に、何をすべきなのかを示してくれた、というのは大きかったんじゃないかと思います。

 

 

こういった、目的を明確にした練習だと、試合中に同じようなシチュエーションになった時に

やはり練習でやっていたことが自然とこうできるようになります。

 

こういう練習によって、早稲田は1個1個のプレイの精度が高くなっていったんじゃないかと

思っています。

 

そして2時間に練習が絞られたことによって、練習後にも膨大な時間が残ってるわけです。

それまでと違って自分の弱点を克服するための時間が作れる。

筋肉が足りてないのであれば筋トレもできるし、走り込みが足りないのであれば走れる。

そうやって自分自身のです弱点を克服していって一人一人が強化したっていうのも

すごい大きいポイントだったんじゃないかと考えています。

 

これは歯科医院でも当てはまるポイントがあります。

 

例えばスタッフがいつまでたってもスケーリングがうまくならないとか

SRPができない、印象が失敗する、などいろいろありますよね。

 

そういう時に大まかなに、「印象の練習しておいてね」と言っても

模型で繰り返し練習して、模型ではうまくできても

実際の口腔内ではうまくいかない、みたいな事があるわけです。

 

それは、全体をうまく採ることだけを目的にしており、

模型であったとしても、こういう患者さんの場合は、こうしないとダメ、とか

口があまりあかない時は、こう、などのポイントを伝えていないので

ただ、模型で練習する事が目的になってしまっているからではないでしょうか。

 

そして院長先生は

「いつまで練習しても全然うまくならない」

「先輩スタッフが何を教えているんだ」

みたいな点に着目するだけで、練習の中身を見ていなかったりします。

 

プロセスを見ないで大まかなところだけを見ようとするので、

何が問題なのかもわからずに、いつまで経っても上手くならないということが起こる。

 

印象が上手な人が、必ずしも教えるのが上手とは限らないので、

教え方を変える、教える人を変える、なども必要かもしれません。

その指示が出せるのはやはり、院長先生だけなのです。

 

 

印象の練習であれば、口が開きづらい患者さん役をやってもらったり、

印象材を練る所から時間計測をして、既定の時間内で練習をする、その際に

無駄な導線などがないか、声掛けなども含めて実践に即した形で練習をしてみるのも

良いのではないでしょうか。

 

 

そして2つ目は、明確な評価とフィードバック。

早稲田には1軍から6軍くらいまでチームがあり、

試合の結果によってチームが上がったり下がったりするシステムですが、

明確な基準があるわけではありませんでした。

 

そうすると、上のチームの同じポジションの人よりも自分

の方が絶対に活躍してた!という状況でも、

チームが入れ替わらない。でもその理由はわからないので、

「まあ監督のお気に入りだしなー」とか「推薦組だからなー」

と自分たちが納得できる理由を探してしまうわけです。

 

 

これも、清宮監督によってガラっと変わりました。

 

だいたい週末には試合があるんですが、

各チームの試合のビデオを分析して、

誰が何回ボールを触ったか、大きく前進したか、

タックルに入っているか、サポートに入ったか、

など、すべてのプレーを全チーム全員分ポイント化して、

集計をしました。全試合、です。

 

そうすると、自分が活躍したかどうかが一目瞭然になるわけです。

 

これによって、自分の何が足りていないのか、上位チームの同じポジションを抜くためには

何を頑張ればいいのかが、明確になりました。

今まで、都合の良い解釈を付けていたメンバーも

自分のタックルの回数やボールに絡む回数が少ないことが分かり、

「どうせ頑張っても無駄」ではなく、「ここを頑張ればいいんだ」が

明確になったわけです。

 

あいつのあそこが悪い、と他人に焦点が当たっていたメンバーが、

自分のプレーに焦点を当てるようになったことで、

メンバーの入れ替えも活発に行われるようになり、

私自身も多くの1軍の試合に出る事が出来るようになりました。

 

これは歯科医院でいえば、人事評価制度の有無とまったく同じだと思います。

人事評価制度を医院に入れるのは難しい、、という医院も多いかと思います。

 

それは評価者がいなかったり、そもそも仕組みがなかったり、様々な理由がありますが、

やはり「何を頑張ればよいのかが分からない」というのはモチベーションが下がる原因になりますし、

頑張ってもどうせ院長見てないし意味ないでしょ、と思われる環境では、

誰も頑張ろうとは思わないわけです。

 

スタッフ達は、先生たちが思っている以上に、

しっかりと評価、というよりも頑張りを見てほしい、と思っています。

 

実際にお伺いしている医院でも、「どうせ院長は見てないですよね」と

面談でスタッフさんに言われたこともあります。

 

そして、そういう医院では、こんな事もおこります。

院長目線で頑張ってるスタッフに、周囲よりも多い賞与をだしてあげました。

当然喜ぶだろうとおもっていたけど、スタッフからは

「私の何を評価してくれたんですか?」と言われてしまったそうです。

 

「こういうところを頑張ってほしい!期待しているよ」というものをしっかりと伝えて、

そのポイントについてフィードックをしてあげる事が重要です。

 

これがなければ、何を頑張っていいのかわからず、

マイナスに堕ちていってしまいます。

 

 

3つ目は、コミュニケーション量。

ここでいうコミュニケーションの相手は幹部です。

それまで早稲田大学ラグビー部の監督は

お勤めをされながら空いた時間に来てくれている方達でした。

もちろんそれも、この上なくありがたいんですけれども

当然仕事でこれない時は、学生が主体となって練習を行っていました。

しかし清宮監督は所属先と交渉しててフルタイムの監督という形で

ラグビー部に来ていただけたのです。

 

そうなるともちろん日頃の練習からしっかりと

みてもらえるようになりますし、

 

練習後に寮でビデオの分析をしながら

キャプテンやコーチ陣、ポジションリーダーという、

いわゆる幹部と一緒にコミュニケーションを取りながら

相手の弱点について、ここがこうだからこうこういうことをやろう、といった

濃いコミュニケーションが増えていきました。

 

今までは監督がグラウンドに来て、今日はこういう練習をやるぞ

という形で伝えたとしても、その意図を果たしてどれだけの選手が

理解しているかというと、そこまでは理解できていなかったと思います。

 

しかし、清宮監督が寮に来て幹部スタッフたちと一緒に、

その練習の意図というものを伝えているので

実際にその練習をする場面でみんながなぜこの練習が必要なのかを理解

できているわけです。

 

そうすると、当然練習の濃さや、習熟度も変わっていきますよね。

 

この監督と上層部がちゃんと意思疎通ができているっていう事が

チーム作りにものすごく重要です。

 

ここが意思疎通できていないと何が起こるかというと

幹部は板挟みになるわけですね。

監督からはこういうことを言われたからみんな

にこういう練習をやらせないといけない。

 

でも、みんなは、「何でこういうことをやるんですか?」

「こういう場合はどうするんですか?」

ということを幹部に質問する。でも、幹部と監督で意思疎通ができていないので

幹部は答えることができない。

 

さて、どうですか?これ、似たような状況は

歯科医院でも起きていますよね?

 

院長が「これやっといて」と幹部やチーフに伝えます。

チーフはその意図とかもよくわからないけど、

院長に言われたから他のスタッフにやってもらわなきゃ!

という事でスタッフにそのまま伝える。

 

 

でもスタッフ達から、

「なんでそんなことをしなきゃいけないんですか!」

「こうなったらどうするんですか」

 

みたいな批判が起こる。それに対する答えを幹部は持っていないので、

院長に「みんながこう言ってるんですけど…」と伝える。

院長は幹部に「幹部なのに、なんでそんなことも自分で考えないんだ!」

のようにイライラしてしまう。

 

こういうことが起こるわけです。

 

当然、院長先生が何でそういうことをやりたいのかを伝えていなければ

スタッフに伝わることはありません。

 

 

「幹部スタッフが全然自分の思いを代弁してくれない」

「幹部には、院長だったらこういうことを考えるからもっとこう

いうことしたほうがいいよ、のように、院長の気持ちを代弁してもらいたい」

 

みたいなことを要望される院長先生は、そういう思いを

幹部にしっかりと伝えているか。どのくらい時間をかけて思いを語れているか。

この辺りを振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。

 

 

スタッフが増えてくると院長先生が一人一人に

その思いを伝えるというのは難しくなっていきます。

 

ですので、医院を大きくしていくのであれば

幹部を育ててその幹部がしっかりと院長の思いを

伝えてくれるような組織にしていかないといけないのです。

 

幹部とのコミュニケーション量を増やすという事をお伝えすると

「ただでさえ時間がないのに、どこでその時間を確保すればいいんですか!」

と質問されることがあります。

 

ただ、そういったできない理由・やらない理由は無限にでてきます。

清宮さんは、四六時中グラウンドにいらっしゃいました。

当然、土日も祝日もです。

そのころ、清宮幸太郎君は多分2歳とか3歳とか、

そのくらいだったと思いますが、グラウンドに連れてきていました。

 

小さいお子さんがいて、フルタイムで土日も関係なく

ラグビー部に関わるのは、生半可な気持ちではできないですよね。

 

恐らく、できない理由なら山のようにあると思います。

でも、どうやったらできるか?を考えて、できなり理由を排除していかないと

物事は何も前に進みません。

 

院長先生も、ぜひ、そのぐらいの情熱を

もってスタッフと接してもらえれば、きっと

今よりも状況は好転するのではないかと思います。

 

 

他にも、しごきを廃止したり、プライベートでも

飲み会での一気飲みを廃止したり、早明戦の後に

歌舞伎町にいくのを禁止したり(他大生と揉める可能性があるので)、

必ず授業に行かせたり(当然なのですが・・・)など、

いろいろな変革がありました。結果的に、

3年生の時は、準優勝、4年生の時には13年ぶりの

日本一になる事が出来ました。

 

 

まとめです。

1つ目。練習の改革。

明確な目的意識を持った練習に切り替える。

無駄な習慣・慣習をやめて、効率的な練習をおこなう。

 

二つ目。明確な評価とフィードバック・

ただやっているだけの意味のない練習や、練習しているけどうまくならない

という時には、しっかり練習の中身を見に行く。

そして、何をすればよいのかを明確にして、しっかりとフィードバックする。

 

3つ目。幹部スタッフとのコミュニケーションを増やす。

 

幹部スタッフがいないのであれば幹部を育てていく。

実践会でももスーパースタッフ育成塾というものがありますので

ぜひご活用下さい。

 

少しでも先生の医院のチーム力強化のヒントになれば幸いです。

 

最後に、この記事を書きながら、優勝した日の夜にアツアツのキムチチゲ鍋がひっくり返って大やけどで病院に運び込まれたのを思い出しました(笑)

 

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