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歯科医院におけるサービス・プロフィット・チェーン(SPC)

こんにちは!
経営戦略研究所の萩原直樹です。
今日は歯科医院におけるサービスプロフィットチェーンに関してお話をしていきたいと思います。
先日大学院を卒業し、MBAという学位を得ることができました。
今後歯科においてMBAで学んだ知識がどのように当てはまっていくのかを考えながら実際にコンサルティングで確認できているものを知識として体系化していきたいと思います。
文章だけでみると少々学術的で難しく見えますが非常に有効なポイントを抑えていますので、ご興味があれば最後まで読んでくださいね(笑)。

サービス・プロフィット・チェーン

みなさんはサービス・プロフィット・チェーン(SPC)をご存知でしょうか。

従業員満足が、顧客満足や企業利益の因果関係につながるという考え方です。
弊社内の講演でもお話をさせていただいている3つのため(自分のため、患者様のため、医院の為)にも通ずる部分になります。

歯科医院で重要なのは患者様との接点です。
受付、診療、カウンセリング、電話対応など患者様との対応をしてくれるのはスタッフです。
そのスタッフが働く環境をより良くしていく、働く上での従業員満足度を向上していくことは今後歯科業界においては非常に重要になってきます。

それはご存知のように歯科衛生士は有効求人倍率20倍以上になっており、
歯科医師の採用倍率は50倍以上とも言われています。
厚生労働省が発表した平成26年12月31日における歯科医師の全国の届出「歯科医師数」は103,972人となっており、歯科診療所が68,592医院となっていますのでひとつの医院に1名以上の歯科医師がいるのは半数以下という計算になります。
(歯科医師内訳「男」80,544人(総数の77.5%)、「女」23,428人(同22.5%))

採用難易度は年々あがっております。

歯科助手採用でさえも近年では優秀な方の取り合いとなっており、採用において完全に売り手市場になっています。

働きやすい、やりがいのある環境を用意することは、より良くスタッフが成長をするだけでなく、患者様からの信頼が得られ、結果として医業収入アップにつながっていくのです。
特に現在のスタッフを長期雇用につなげていくということは今後歯科業界を勝ち抜く鍵となるでしょう。

スタッフの医院における勤務満足度を高めることにより、仕事中に実施をしてくれるパフォーマンスは最大化し、それが患者様満足度を向上します。パフォーマンスを最大化すれば徐々にスタッフが提供できるサービス水準は向上し、更なる利益や収益を生んでくれるのです。
これがサービス・プロフィット・チェーンというものです。

それではサービス・プロフィット・チェーンを創るためのポイントをご紹介します。

(1)企業の内部(院内)サービス品質の向上

スタッフは自分が頑張っていることを認められたいという気持ちをとても強く持っています。
頑張っていないスタッフとの差がないと、頑張っているスタッフも徐々に頑張りたいという気持ちは失せていき、
誰も努力をしない、全員が通信簿でいうオール3のスタッフばかりが増えていきます。

内部(院内)サービスというのは医院内で従業員満足をあげるために提供する施策を指します。

企業の内部サービス品質向上のポイントは

採用・配置・評価・育成と

いう人事システムの適切な構築です。

まずはどのような人材を採用したいのか、具体的な評価項目を事前に決定し、採用基準をぶらさないことです。
特にヒューマンスキルで自分の医院と異なる傾向の方は採用しない方がよいです。

無事に採用が行えた場合に適切な配置をしていきます。
トレーナは誰にするのか、どのポジションでどんな仕事をさせるのか。
配置の際にもそのポジションですべき仕事はどんな仕事であるのか事前に説明しておきます。
仕事を行わせてから「あとからもっとこうして欲しかった。」と伝えるのは、スタッフ満足度を著しくさげます。
事前に期待していること、評価につながることを伝えておくのです。

評価につながることが分かっている中での行動は動きやすく、やりがいも感じられます。
入社当時はヒューマン・テクニカルスキル項目を求め、時間の経過とともにコンセプチュアルスキル(医院に対する行動)項目を増やしていけるとよいです。

育成の観点においては、上記の評価項目が明確であれば難しくありません。
頑張っていけそうなスタッフであれば現状より少し背伸びした目標を設定します。
※120%程度の目標設定が自分自身のコンフォートゾーンを抜けてラーニングゾーンにつながると言われています。
新人の育成を任せていきたい場合には十分そのスタッフがテクニカルスキルではなく、人を教えるだけ十分なヒューマンスキルが備わっているかを見極めてから依頼をしていってください。

他にも、内部サービス品質向上における項目には
職場の整備(バリデーションサークルの実施、院内の業務オペレーション効率向上も含む)、
職務設計(毎日のルーティンワークだけでなく、年単位での成長目標設定)、
患者様満足度を向上させるツールの準備(iPad・説明文章の印刷・手渡し)、
キャリアステップ明示(5年~10年を考えたキャリア・カムバック制度)、
などがあります。

今後継続的成長をする歯科医院であれば内部サービス品質の向上、再検討は絶対です。

(2)高い従業員満足度 → 高い従業員ロイヤリティ

働く中でやりがいがある、自分の頑張りを正当に評価してもらことをスタッフが理解すると医院に対する帰属意識は高くなります。
一方でどんなに頑張っても、頑張っていないスタッフと比べて数千円しか給料も変わらず、やればやるだけ頼まれる仕事が増えるだけであれば3~5年目という一番伸びるタイミングでその事実をスタッフは確信し、退職にいたります。

色々な歯科医院のご相談を受けておりますが、上記のような例は大変多く、優秀な方が5年以内に辞めてしまっております。
そしてそのようなスタッフが行く歯科医院は正当に頑張りを評価される医院ではなく、割と早い時間に変えれて、そこそこの待遇で特段難しいことはしない歯科医院に転職してしまうのです。
これは私が今までお伺いしてきたスタッフの転職先ではありますが、そのようなケースが多いのは事実です。
過去に5年頑張って評価されなかったのでまたイチから頑張って努力しようという気力につながらないのです。

高い従業員満足を実現している歯科医院はとにかくスタッフが医院のことを好きです。
医院のために頑張りたい、先生のためにサポートしたいという気持ちがとても強いのです。

あるスタッフは医院のグッズをたくさん作って団結力を高めたり、
あるスタッフは医院の代表のスタッフとして治療技術を提供するために何十時間、何十万円を投資しセミナーに参加しています。

しっかりとした内部(院内)サービス品質が従業員を育てていきます。
自分の院内のサービス品質がどのようなものか再考してみてください。

(3)考えるスタッフを生む

スタッフが医院をよくしていきたいと考えるようになると院内で新たなアイディアが動き始めます。
在庫管理、説明スクリプト作成、ツール作成など、とても院長先生が見れない部分を細かい視点で対応してくれます。
ロイヤリティの高いスタッフは院長先生が何も言わなくてもどんどん仕組みをつくってくれます。
ここで気をつけないといけない点は、院長先生・先輩スタッフが考えてくれるスタッフの仕事のキャパシティを把握することです。
院長先生、先輩スタッフは考えるスタッフが発生したことが嬉しくなり、そのスタッフにばかり仕事を頼むようになります。
するとオーバーワークになり、体調不良になったり、考えることをマイナスにとらえたりしてしまいます。
程よく限度臨界点手前でのペース、ボリュームで仕事を依頼しましょう。
時には考えて行動してくれるスタッフが何をしているか業務の棚卸を一緒にしてあげるとよいです。
意外とそんなに多くのことを抱えていない場合があり、一人で考えているということがただ嫌になってしまっていることもあります。

考えるスタッフが増えてくると医院は加速度的に向上していきます。

スタッフが考えていくと、ロスする点がまず解消されます。

無駄な在庫発注がなくなった
スケーリングチップがなくならない
情報共有漏れがなくなった

などです。

考えるスタッフが生まれると歯科医院内での気づきが多くなり、些細なムリ・ムダ・ムラが解消され、スムーズな医院経営につながってくるのです。

(4)ファン患者様の発生

もちろん従業員が考えるという行為は患者様にも影響していきます。

患者様にどのように説明したらわかりやすいか、
どんなツールがあれば患者様は理解をしてくれるか、
具体的に有効なものを考えていきます。

この時にスタッフはどうしていいか、わからない場合があります。
そこで面談やミーティングを通じてスタッフが改善しようとしている点を拾うことが必須です。
何かよいことをしようと思っていたけど何日か経つと忘れてしまうこともあります。
アウトプットをすることにより複数の脳でアイディアを考えていくのです。
すると小さい改善が生まれ始めます。
歯科医院内での小さい改善は徐々に広まっていきます。

さらに患者様は私達が想定している以上に変化に気づきます。

お花が変わったのね!
受付の方は新しい方かしら!
季節によってこんなイベントしているのね!

ファン患者様になればますます変化への気づきは高くなります。

ファン患者様が増えてくるとリコール率があがりますが、患者様は治療に対してだけ意識があがっているのではなく、対応してくれるスタッフや先生に対しての信頼感・期待感が増していくのです。

接触頻度をあげることが信頼関係を向上していきます。
常に丁寧な対応、患者様のご意見を取り入れた診療・説明などを繰り返し行っていけばファン患者様は自ずと増えていきます。

「私は誰々さんを指名したい」というように患者様がスタッフを指名し始めます。

スタッフも指名をされると患者様の期待に応えようと自分の技術と向き合うことになります。
ロイヤリティの高い患者様は定期的に治療に通うだけでなく、他の方へ口コミをしてくれるなど良い影響は多方面に展開します。

(5)還元する仕組みへ

収益は同じスタッフが長期間勤務していればより良くなってきます。
1人で2人分くらいの仕事をこなしてくれるスタッフにもなります。
収益、利益が増えてきた場合には一定の割合は必ずスタッフに還元しましょう。

還元方法は賞与や旅行、慰労会などどのような形でもよいです。
医院の規模やスタッフ数にも定期的な決起会や医院旅行はお勧めです。
全員が頑張ったことを共に分かち合う場ができます。

もちろん賞与にも反映をして、自分の生活が豊かになっていくことを実感していきます。

収益は伸びた分はしっかり還元する、伸びなかった分は全員で我慢する
この流れを創っておけば、医院の業績が自分の人生に深く関係してくることを理解できます。

多くの歯科医院では医業収入があがっても、さがっても同じお給料・賞与という体系をとっている医院が多いです。
そうするとやってもやらなくても一緒、一緒であれば楽な方が良いと考えてスタッフは徐々に気力を失っていきます。

終わりに…

採用環境はこれから益々過酷な状況になっていきます。
良いメンバーで良い環境を創るためには採用・配置・評価・育成という人事システムの適切な構築が必須になってきます。
作りっぱなしの人事評価制度があり、機能をしていないのであればもう一度見直してみてください。

外部により良いものを提供するための始まりは全て内部にあります。

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